伊藤詩織:性暴力に対する日本の態度は過去に閉ざされたまま(前半)

Shiori Ito: Japan’s attitudes to allegations of sexual violence are locked in the pastの適当な訳です。たぶん彼女自身が書いたものと思いますが、彼女はかなり英語ができますね。ドキュメンタリーを見ていてもそう思いました。やはり日本に閉じこもったまま英語を勉強している者とは違います。

 


「何時にホテルを出ましたか?」、尋問のあいだに捜査員の一人が聞きました。

私が覚えているのは、午前5:30過ぎです、しかし午前6時前だと思います。私は人生最悪の悪夢から逃げ出していたんです。正確な時間をノートにとることもしませんでした。

捜査員の方が、少々の思いやりを見せてくれたように感じました。「正確な時間がわからないと、絶対に訴訟には勝てません。やめるしかないですよ」

もちろんわかってました、単純には私の言葉を受け取らないだろうと、捜査しないだろうと。特に、私の主張を強く相手は否定しているのですから。でも、私がお願いしたことは、ただただ少なくとも捜査して欲しいということでした。

私が地域の警察に最初に行ったとき、女性警察官とお話ししたいと願いました。受付の巡査が言うには、女性はいないと。しかし、なぜ女性と話したいのかというのです。その時、非常に動揺していたので、明らかにわかるだろうと思い込んでいたんです。でも違いました。繰り返し要求したのですが、確かな理由を言わない限り、女性警察官は現れませんでした。私は、受付の前に立ち、周りの皆が、女性警官を要求するこの若い女に我慢ができなくなりつつある中で、言わねばなりませんでした。「レイプの被害を報告したいからです」と。とうとう、巡査が折れ、私は尋問室に連れていかれ、そこに女性警官が現れたんです。

彼女が来たとき、私は即座に心の中をぶち撒けました(私が非難する男についての話です。それから強硬に否定していますが)。何度も泣き崩れました。最初に彼に会ってからの話です。ボロボロに泣きました。話し終わると、彼女が言うのです、本当にすまないと。交通担当だから、担当はできないと。最初から、性暴力担当の警官に話してくれと言うのです。男性警官しかいなかったのです。後で、わかったことですが、日本の女性警察官は8%なんです。

男性の警官が入ってきました。再度、私は起こったことを話したんです。一時間ほどで終わりました。感情的に極度に疲労していました。彼が言うには、現場のホテルは別の署の管理下だから、私の言い分は扱えないというのです。私は再度説明しなければならなかったんです、管轄署の別の警官にです。諦めようかとも思いました。

フェアのために言っておきますが、彼らは、私の地域の署に、適切な地域から警官を呼んでくれたんです。しかし、私が証言し終わると、彼は言ったんです、極めて少ない数しか有罪判決にいたっていないと。そして、これ以上無い強い言葉で諦めるよう言いました。私が訴えている相手(一貫していかなる不正も否定しているのですが)は、力も影響力があり、私のジャーナリストとしてのキャリアはおそらく終了するだろうと、もし私がこの主張を強行するようであれば。

私は強行しましたが、一年半の後に検察官は決定したのです。罪に問う十分な証拠が無いと。

2017年5月29日のことです、私は公に出ることに決めました。日本の報道に名前と顔をさらすことにしたんです。私がこれをした理由は、社会において、性的暴力の問題を話す必要があると感じたからです。法システムと社会的態度を変える必要があると感じたんです。そして、議会に110年もの古いレイプ法を修正するように圧力を加えたかったんです。

私がカミングアウトした三週間後、法が改正され、いくつかの変更がありました。これは、一世紀以上を経てのはじめてのものです。最低刑期は三年であり、窃盗よりも短いものでしたが、それが5年に伸ばされたのです。しかし、まだ行うべきことがあります。日本での合意年齢はまだ13歳です。日本のレイプ法には合意についての記述がありません。政府にはさらなる法修正のためのレビューを望みます。

日本社会では、レイプはこのようにタブーのトピックですが、メディアでもそうなのです。メディアは、日本においてもっとも男性独占の進んだ業界の一つです。東京拠点のテレビでのニュースボードには女性がいません。これはまた2017年の世界経済フォーラムのグローバルジェンダー平等性において、日本が114位にランクされている事実をも反映しています。

レイプの被害者はたびたび婉曲表現で隠されてしまいます。例えば、未成年の場合は「いたずら」(tricked)、あるいは「暴行」(violated)です。ニュースではこれが使われます。日本社会ではレイプは見えないのです。おそらくこれが理由でしょう、東京の24時間対応のレイプ危機センター(これが1300万人に対応します)が常時ただ一人しかいないことの。2015年に私が助けを求めたところです。

捜査の一環として、その夜連れ込まれたホテル近郊の署に来るように言われました。心の支えのために親友にも来てもらいました。到着すると、署の上階のジムに連れて行かれました。何をするかを聞いたので、友人に来てもらって良いかと聞きましたが、拒否されました。私はジムにつれていかれ、マットレスに寝そべるよう言われ、そして、等身大のマネキンが作られ(空気式?)、三人の男性警官が私の上で人形を動かしました。私に性的な、正確に何が起こったかの質問をしながらです。そして写真を撮影しました。これが捜査に必須だと言われたのです。

(後半に続く)

 

 

 

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