ロシアのドーピング疑惑は本当なのか?その2

この件についての日本語Sputnikの記事を教えてもらいました。 WADA告発者ロドチェンコフ氏 ロシアへのドーピング非難を否定というもので、2018/4/27の記事ですね。

これはむしろ訳のわからない記事です。というのもロドチェンコフがそもそも告発を行い、「プーチンに殺される」として米国に逃げてきて、Neflixによるドキュメンタリー映画まで作ってもらったのに、なぜここに来て証言を翻したのかが一切不明なんです。ここでは全面否定ですよね。

  • こうした混合物をロシア人アスリートに与えたことは一切なく、アスリートが独自で服用したり、使用の説明書を受け取ったところも見たことはない
  • 尿検体を「混入のない」尿とすり替えて出すところは一度も見たことはない
  • 「混入のない」尿の採取には参加したことはなく、採取が選手らによって行われているところを見たことがない
  • アスリートらがドーピングの検査過程に介入しているという証拠も採取されたドーピング検体も持っていない

じゃ、あんたは一体何を告発したんだよ、というあまりにおかしな話になってきちゃってます。

先にあげたRTの記事‘Rodchenkov’s evidence is hearsay with limited probative value’ – CASはこんなところです、これは2018/4/24のものです。

スポーツ仲裁裁判所(CAS)は二つの理由付の裁定を出した、ドーピングが非難された39人のロシア人アスリートについてである。そして、グレゴリー・ロドチェンコフによる証拠を「限定された証拠価値しかない噂」だとした。

CASによる152ページの文書では二人のアスリートの証言を詳述している。スキーのアレクサンドル・レグコフと、ボブスレーのアレクサンドル・ズブコフである。彼らは平昌オリンピック前にIOCによって制裁を課された。

6日間の裁判所手続きの後、CASが裁定したことは、レグコフを含む28人のロシア人アスリートの訴えを認めたことだ。そして、彼らのドーピング使用による永久追放処分を取り消した、オリンピックオープニングセレモニーの数日前にである。

この裁定が、いくつかのIOCメンバーに騒ぎを引き起こした。彼らはCASの決定を「巨大な失望」と呼んだ。

月曜(2018/4/23?)にCASは、レグコフについての理由付の裁定を発表した。ここでは、このアスリートに対するすべてのドーピング容疑を晴らし、2014ソチゲームで取得した彼のメダルを復権させる彼らの決定についての合理的な説明がなされている。

アレクサンドル・レグコフのケースについて、委員会は結論した。IOCは、WADCの条項2.2の目的のために、禁止メソッドをアスリートが使ったことを確立するための責任を果たしていない。特に、委員会が結論したことは、この場合の状況証拠の証拠的価値が不十分であることだ、直接証拠が存在しないことをを凌駕するものとしては、つまり、アスリートが禁止メソッドを使ったというADRV(?)を行ったことについて」とCASは言う。

モスクワのアンチ・ドーピング機関元所長のロドチェンコフは、ビデオによって法廷で証言した。彼の顔は上訴人からは見られぬよう覆われていた。しかし、判事は彼の証拠を確認できなかった。

「委員会が重要性を考慮したものとしては、ドクター・ロドチェンコフが、彼の口頭証言において認めたことだ。彼は見たことは無いと、Duchessリストにあるいかなるアスリートも、実際にDuchessカクテルを飲んだことを見たことが無いと」と文書には記述されている。

Duchessとは、ロドチェンコフによってデザインされたステロイド入のカクテル。

「この証拠は噂であり、証拠的価値は限定されている。特に、2014/2のソチゲームの間のアスリートの行動についてはだ」

「この状況においては、IOCとは異なり、委員会はDuchessリストにアスリートが掲載されている事実を十分とすることはなかった。つまり、委員に対し、アスリート達がソチゲーム期間中に禁止薬物を使用したことを納得させるものではなかった」とCASは付け加えた。

ロシアのアスリート達は、1/22から27のスイス、ジュネーブで行われた公聴会に参加したが、彼らの主張としては、亡命中のドクターが信頼できる目撃者ではないことである。彼は、「彼の証言をマクラレン教授に提供したが、その文脈としては、彼が米国からロシアへの国外退去に直面していたことである。ロシアで彼は刑事訴追の恐れがあったのである」

CAS委員会による概要としては、ソチゲームにおけるレグコフの尿サンプルは濃縮Sault(?)レベルも、DNAの混在も示していなかったことだ。

「委員会が言及したこととしては、何の直接的証拠も無いことである。つまり、アスリートが故意に彼のサンプルボトルの密封性を制限し、無理矢理再開封しやすくしたことのだ。」と文書は声明している。

主張されるドーピング交換計画をレビューし、委員会はこうも強調した、ロドチェンコフの証言は矛盾しており、何の十分な証拠にも裏打ちされていない。

「ドクター・ロドチェンコフの言葉によれば、彼は思い出せるという、2014/2/23にアスリートの尿サンプルを交換したと。委員会が指摘したことは、ドクター・ロドチェンコフの日誌のその日付には、アスリートのサンプルを交換したことについて何の言及もない。それどころか、ドクター・ロドチェンコフは主張される交換について、日誌には何の言及も無い。ドクター・ロドチェンコフの証言は、それと同時にあるはずの何の文書の裏打ちも無いただの声明である。」

裁判所に持ち込まれたすべての証拠を調査した後、判事達はレグノフの訴え、彼が国際的競技に復帰する適格者であることを支持した。

「委員会は、アスリートがWADC条項2.2、2.5あるいは2.8下のADRV(?)を行ったことを信じるには足らないと判断したため、IOC DCがアスリートに課した調査結果および制裁と、ソチゲームで競技者が獲得した結果を復帰するとした。」

2月には既にこういう記事は出てますね。

スポーツ仲裁裁判所 ドーピング露28選手の処分取り消し

これに対してIOCは不服だったようで、さらにCASが調べていたようですが、結局ロドチェンコフの証言は全然信用ならないよ、ってなところになったようです。

しかし、この話はこういうことなんですかね?どうにも良くわかりませんが。ロドチェンコフはロシアの反ドーピング機関の所長だったにも関わらず、自らDuchessという薬物カクテルを開発し、それをアスリート達に勧め、飲むところも見ておらず、自分は米国に亡命したいがために、国外退去の危機に際して「反ロシア」のキャンペーンの一翼を担うべくデタラメな証言を行ったと。

それがために世界中大騒ぎになり、ロシア選手は選手生命を絶たれ、メダル剥奪の危機に。しかし、ここにきて御本人が(Sputnikの記事によれば)「私は何も見てない」と言い出したというわけでしょうか?

どうにも意味不明な事件ですが、ともあれこのスポーツ仲裁裁判所の裁定を日本のメディアは報道するんでしょうか?

 

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