「トランプが武器貿易条約の署名撤回」の意味

というニュースがありました。少々調べてみたんですが、未だに明確にはその意味がわかりません。ここをお読みの皆さんはわかったでしょうか?わかったら教えてください。

武器貿易条約とは?

これはWikipediaに解説がありますね。武器貿易条約です。

武器貿易条約(ATT)は、通常兵器の国際移転(移譲)を規制する条約である。

通常兵器が大量殺害やテロリズムに利用されることを予防・根絶するために、通常兵器の国際移転(移譲)を規制する。

2013年4月2日の国際連合総会において、武器貿易条約の採択投票を行った。結果は次の通り。

賛成が日本、米国を含む156か国
反対が3か国(北朝鮮、イラン、シリア)
棄権が22か国(中国、ロシア、インド、インドネシア、キューバ、エジプト等)

ここで疑問に思ったのは、「通常兵器が大量殺害やテロリズムに利用されることを予防・根絶するために、通常兵器の国際移転(移譲)を規制する」んですが、誰がどうその判断を行うのかという点です。何も書いてありません。

それと、反対した北朝鮮、イラン、シリアは何だと言って反対したのかです。それなりに理由があるのかと思いますが、書いてありません。

これらが後々まで尾を引いて行きます。

読売の報道

で、これについての本日の読売の報道はこうです。

なんか妙な話になっちゃってます。この黒見周平という記者はWikipediaさえも読んでないようで、トランプの主張をそのまま伝え、「支持基盤のNRAに銃規制反対をアピールする狙いがある」なんて書いちゃってますね。

トランプはATTについて、修正第二条が認めた銃所持の権利を「脅かしてきた」と非難したというのですが、修正第二条とこの条約は全く全然何の関係も無いことは明らかです。

武器貿易条約は、通常兵器の国際移転(移譲)を規制する条約である。

んですから、修正第二条という米国内の話とは異質の話です。

つまり、トランプはいかにも修正第二条を脅かすものというフリをしていますが、これは全くのウソですね。それを愚かな読売記者は見抜けません。

及川幸久の解説

では、本当のところはどうなのかいなと探してみると、こんな動画がありました。結論から言えば、この方も何も理解できてないことが見て取れるんですが、ともあれこれです。

彼が言うには、この条約は左翼勢力が大好きなんだそうです。が、その理由は述べられていません。

–>プロパガンディストの良くやる手ですね。誰々は反対してる、もしくは賛成してるなどと言い、印象を作るわけです。

で、トランプが撤回した理由というのは、「米国の国家主権を侵害するものだから」だそうです。この条約は中国、イラン、北朝鮮の武器の「密輸」については何の制限も無い。つまり、通常兵器の輸出を制限し、「密輸」はそのままにするのだそうです。

ホワイトハウスの声明でも「国家主権を守るために条約を撤回する」とのことです。

で、英国は条約参加しているが、サウジに武器輸出しようとしたところ、ある団体が(国連では無いらしい)裁判に訴えて止められたとのこと。

もし米国が参加していたら、例えば台湾のような同盟国を守るために武器を売ることができなくなってしまうと。

※都合良くも米がサウジに武器売ってることは無視してます。まさにそれが今問題になっているにも関わらず。

つまり、国連というグローバリズムが国家主権の上にあるという典型的な条約なんだそうです。

※英・サウジの例では国連は関係無いように見えますけどね。

で、トランプは「選挙で選ばれてもいないグローバル官僚に国家主権を譲らない」と言ったんだそうです。

なんかもう論理がメチャクチャなんですが、まず国際間の武器取引を制限することは、国家主権とは無関係です。そして、制限する主体としては、彼の話からは国連が勝手に恣意的にするわけではないようです。英・サウジの例では、明確に「ある団体が裁判に訴えた」と彼自身も言ってます。ですから、選挙で選ばれてもいないグローバル官僚が云々というのは当たらないように思えます。

そして、条約に反対する国が武器貿易した場合に「密輸」と言ってますけど、こういうのは密輸と言わないのでは?密輸というのは、そもそもそれが違法だからこそ「密輸」と呼ぶわけですよね?条約に反対する国が武器取引すると「密輸」になるんでしょうか?

さて、トランプはなぜ撤回したのか?

で、トランプはなぜ撤回したのかですが、これじゃないかと思うんですけどねぇ。。。

「米英仏がサウジに武器輸出」/イエメンで使用とNGO

国際非政府組織(NGO)の連合体「コントロール・アームズ」は11日、イエメン内戦に介入するサウジアラビアに、米国、英国、フランスの3カ国が武器を輸出していると発表した。イエメンでは2015年の内戦開始以降、これらの武器で多数の一般市民が犠牲になっている証拠があるとしている。

英仏は、通常兵器が紛争などに使われないよう規制する「武器貿易条約」の加盟国。コントロール・アームズは「条約制定の原点に立ち返り、サウジへの武器輸出を即時停止すべきだ」と訴えた。同条約には米国も署名している。

 
サウジアラビアはイエメン戦争をやめろ! 戦争犯罪を不問に付す安倍・ムハンマド会談反対!

こうしたサウジアラビアに対する英仏米独などによる武器輸出は、8月26日に閉幕した武器貿易条約(ATT)の第2回締約国会議でも、ATT違反
だとして、NGOなどからの強い批判にさらされていました(会議自体ではほとんど議論されず)。欧州諸国や北米、南米ではサウジアラビアへの武
器輸出反対のキャンペーンが大きな盛り上がりを見せています。

武器輸出の止め方が見えてきた

英国もサウジアラビアへの武器輸出を国際的に非難されている。2015年3月以降、サウジアラビア主導の連合軍が隣国イエメンに無差別攻撃を行ってきた。この攻撃によって、約1年間で約3万7千人が死傷、約280万人が国内避難民となったと言われており、住宅地や病院、学校、市場、民生用の工場、港湾、国内避難民キャンプなどへの空爆は、明確な戦争犯罪として強い批判を浴びている。2015年にイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、モンテネグロ、オランダ、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、米国は、サウジアラビアに対して、無人機(ドローン)、ミサイル、爆弾、戦闘機などを含む合計250億ドル(約3兆円)にも及ぶ武器輸出を許可した。

これに対して、ロンドンに拠点を置くNGO「武器取引反対キャンペーン(CAAT)」をはじめとするEU諸国のNGOなどは、「武器貿易条約(ATT)などに違反する」として強力な反対キャンペーンを展開した。その結果、2016年2月25日、サウジアラビアへの武器輸出を止めるよう求めるEU議会決議が賛成多数で採択された。しかし、英国などはこれに従わず、サウジアラビアへの武器輸出を続けている。

中東に武器を売りつけて利益を得ているのは米英だけではない。フランスの2015年の武器売り上げは2014年の倍額の150億ユーロ(約2兆円)に増加した。オランド大統領は中東諸国を次々と訪問し、「死のセールスマン」として武器売却外交を積極的に展開した。フランスのダッソー社が製造する国産戦闘機ラファールは、当初はさっぱり売れず、「世紀の大失敗」と非難されていた。しかし、2015年に入ると、エジプト24機、UAE60機、カタール24機、インド36機と次々と大型契約がまとまった。まさに紛争に寄生して息を吹き返したのである。

ロシアもまた、中東への武器輸出を加速させている。米議会調査局によれば、ロシアからシリアへの武器輸出額は2007年の21億ドル(2520億円)から、2010年には47億ドル(5640億円)に増加した。地中海に面したシリアの港湾都市タルトゥースにロシアが海軍基地を置いていることが、シリアのアサド政権支持の背景にあるとも見られている。

さらにドイツも、サウジアラビアやトルコなどに武器を売りつけ、イスラエルには核ミサイル搭載が可能なドルフィン級潜水艦を輸出し続けている(2017年までに計6隻となる予定)。実際にイスラエルが中距離核ミサイルを潜水艦に装備したとも言われている。

とりあえずの結論

これは、上下院が決議したイエメン内戦への軍事介入に対する米軍の支援を中止するよう求める決議にトランプが拒否権を発動したこととつながってると考えられますね。

何がどうあってもサウジの支援をやめるつもりは無いということでしょう。サウジがイエメン人をぶっ殺すのを絶対的に支援するのが軍産複合体奴隷のトランプの役割というところでしょうね。

 

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