翻訳について共同声明(草案)

おかしなことを言ってくる人が多いので、共同声明を出すべきと考えています。以下は草案です。


最近、「病気の真の原因」訳者である我々に対し、おかしなアドバイスをしてくる方々がいます。これについて、見解を述べておきます。

「言葉を放った人間の他の著作や人生まで加味し、表面的な言葉を翻訳するのではなく、それ以上の意味を考慮して意訳すべき」といった意見があります。例えば、開業医が「busy」とあった場合に、場合によっては「忙しい」ではなく「商売繁盛」と意訳するとのことです。

しかし、そもそも、この「肯定的な意味」への意訳は、その者の主観に過ぎず、客観的な正しさの保証はありません。主観によっては「クレームだらけで大変」ともなりうるでしょう。このように、文字面以上の意味をこめようとすることは、大変危険な橋を渡ることになりますが、これを確実にやろうとすれば、その言葉を発した者を徹底的に調べなければならないでしょう。後述する理由から、そのような時間は訳者にはありませんし、もちろん、これをいくらやっても何の保証もありません。

そして、この本は原著者が10年の歳月をかけた労作です。上の判断が正しいにせよ、間違いにせよ、訳者の主観的な判断で文意を勝手に変更することは、これを汚すことになります。このような勝手な行為が誤りであることは誰の目にも明らかでしょう。

「busy」は、単に「忙しい」と訳すのがベストであり、その言外の意味は読者に委ねられるのです。それが原著者の意図であり、その意図を捻じ曲げることは許されません。

そもそも、訳者は黒子に徹しなくてはならないのであり、訳者の主観で文意を変更するなど、傲慢以外の何物でも無いことは、誰でも容易に理解できることです。こういった「アドバイス」を、わざわざしてくる者こそが、あまりに傲慢であると言わざるをえません。

また「この本は長く読まれる本だから、しっかりやらねばならない」とのアドバイスがあります。そもそも我々は、スター翻訳者でもなく、大した販売数も期待できず、巨大な権威にたてつき、他の誰もやらないようなものを、あえて「人々が真実を知るために世に出さねばならない本」との理由から翻訳作業をしており、収入はそもそも期待していません。手弁当覚悟でやっているわけです。

このような状況の中で、意見を言う方は、好き勝手なことを言います。我々としては、可能な限り原著者の意図を曲げることなく、誤解させることなく、日本語に変換するのに手一杯であり、それ以上の作業をする余裕などないのです。

さらに、こういったアドバイスをする者は、何らかの「権威」を構成しており、上から目線での、いかにも「権威」からの正当なアドバイスをしているように思えます。しかし、本書はそもそも、そういった「権威」が、これまでいかに間違いを犯してきたかを告発する本です。原著者の二人共が医学の門外漢であり、全くの権威の外から、権威の行為に対して疑問を付す本なのです。

原著者が本書を通じて常に強調することは、こういった権威(establishment)は、その間違ったやり方に対して既得権益を持ち、やり方を変えられず、一般大衆にそのしわ寄せを押し付けているというものです。そういった本の翻訳を担当する我々としては、医学のみならず、あらゆる分野の権威を疑うことを、その読者に伝えることが役目であるはずで、その我々が、「権威」の明らかに間違ったアドバイスを鵜呑みにするわけには到底行かないでしょう。

さらに、我々は、プロの翻訳者訓練を受けてもおらず、「これを日本人に知らせねば」との思いだけで、ほぼ利益にもならず、ほぼ誰もやりたがらないことをやり続け、「叩き上げで」翻訳技術を磨いてきたのです。その間、こういった「権威」の方々は一体何をしていたのでしょう?

そのような状況でやってきた我々に何かしら物申すというのであれば、その前に我々と同じことをやってみるのが先決でしょう。アドバイスなどではなく、ご自身がまずやるべきなのです。

ともあれ、これらは、医学界に対して、全くの門外漢の立場で異議申し立てをしている原著者の二人にも通ずるものです。彼らもまた、10年をかけた労作を自費出版し、世界的に有名になるまでになったのです。

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