この記事の三行要約
- 平面説の近距離天体モデルは観測事実と一致せず、前提として用いられるグリーソン地図も実証的根拠のないAE(方位等距離)図法の転用にすぎない。
- グリーソン地図は球体地球を前提に作られた地図を平面投影したものであり、「平面世界の実測結果」ではないため、平面地球の証拠にはならない。
- にもかかわらず、多くの平面説論者はこの地図の妥当性を検証せずに議論の前提とし、その結果、観測事実や距離・天体の見え方との矛盾を説明できない。
平面説近距離天体モデルは観測事実と一致せず、誤り
この記事シリーズで主に追求してきたのは、平面説近距離天体モデルが観測事実と一致しないという点です。事実に一致しないことが明らかである以上、仮説と呼ぶこともできず、明確に誤りです。
しかし実は、この記事シリーズでは、平面説における明確な距離関係を使うことができず、仮の値を用いてきました。平面地図の緯度一度あたりの距離は球体地球の緯度一度あたりの距離と等しいとしたのです。つまり、緯度一度あたり111.2kmと想定しています。
しかし、この値は平面信者たちが明示している値ではなく、後述するグリーソン地図、AE地図によるものです。奇妙なことですが、平面信者は、ここまで詳細な検証など行わないため、この地図が正しいかを考えたことも一切ないのでしょう。ですから、この界隈での統一見解などはなく、私としてはあくまで仮の値として使ったきたわけです。
しかし、どんな値であれ、平面説が誤りであることは変わりません。そういった注意を払いながら記事を書いてきました。
グリーソン地図と何か?
球体地球では、緯度一度あたりの距離は111.2kmで、赤道円周は40,075kmです(ということになっています)。
平面説では、これらの球体地球にある大陸や国々は、実際には次のような平面上にあるのだと主張します。これは、グリーソン地図と言われるものです。
この図の北極・南極間距離をAIに聞いてみると、以下の解説です。
グリーソン図の基礎データ
グリーソン自身の1890年の著書『Is the Bible from Heaven? Is the Earth a Globe?』での説明と、1893年に取得した米国特許497,917号の記述から、次の点が確認できます。
- 図の直径は14¼インチ(半径7.125インチ)
- 特許文書では投影法を「球の子午線を、グリニッジから赤道・両極までの本来の長さ(value)を保ったまま直線化したもの」と説明している
この後半の一文がポイントです。これはまさに正距方位図法(AE)の定義——中心(北極点)からの放射距離が、球面上の実際の距離と等しくなるよう作図する——を自ら認めているのと同じです。図の腕(インジケーターアーム)にも緯度目盛りが刻まれており、中心からの距離が緯度に比例するよう設計されています。
計算方法と、そこに潜む循環論法
手順自体は単純です。
- 図の中心(北極点)から縁(外周=南極/氷の壁)までの長さをインチで測る(グリーソン図なら7.125インチ)
- 図に記された緯度目盛り、または縮尺から「1インチ=何km」を割り出す
- 掛け合わせて「平面地球の半径」を得る
ここで実際に計算すると、AE図法は定義上「北極から南極までの子午線弧長」をそのまま半径に写すので、答えは必然的に
半径 ≈ 地球の極半径 × π ≈ 6,371km × π ≈ 20,004km(≒北極点〜南極点の地表距離、実測の極周長40,008kmの半分)
という、最初から分かっている球体地球の数値がそのまま出てくるだけです。つまりこの「半径」は平面地球説を裏付ける新しい測定結果ではなく、AE図法の作図式 r = R球 × 余緯度(ラジアン) に数値を代入しただけの同語反復です。ここは動画や記事で「見かけ上、地図から半径が求まる」ことを紹介する際、必ず併記すべき論点だと思います。
つまり、グリーソン地図とは、AE図法(Azimuthal Equidistant Projection、方位等距離図法)と言われるものと同じものです。しかし、両者の意味合いはまったく違います。
- グリーソン地図:これが世界の真の姿である。球体ではなく、平面だ。
- AE図法:地球は球体だが、そのままでは一枚に表現できないので、仕方なくこういう形で表現した(他の図法としてはメルカトル図法などがある)。
グリーソン地図に根拠はない
しつこく確認しておきたいのですが、グリーソン地図はAE図法とまったく同じですが、その意味としては、「これが世界の真の姿である」ということです。
もちろん、グリーソンは平面信者でした。では、彼はこの地図をどうやって描いたのでしょう? 結論から言えば、当時作成されていた球体地図を単純に平面に投影しただけの代物です。つまり、AE地図を作っただけです。独自の測地などを行ったという記録はないようです。当時の平面信者たちが協力して、世界中で測量を行ったわけではありません。
平面地球の測量によって地図を作ったのではなく、既存の球体世界地図を平面図法に描き直しただけです。AE地図と同じです。そこで、第一に提示されるべき疑問としては、こうです。
彼は、どうやってこれらの平面上の大陸の形がわかったのか?
地球儀には様々な大陸が描かれていますが、それらは球体地球を前提として世界中を測地してまわった結果ですね。平面信者の考えとしてはこうでしょう。測地したり、そこから球体地球地図を作った全員が「騙されているか、嘘をついている」と。
ですから、これらは嘘であり、地球は平面だと仮定してみましょう。この論理からすれば、「大陸の本当の姿は、地球儀上の大陸がそのまま平面に投影された形である」であるはずがありません。そうではないですか? 元ネタの地球儀が、そもそも嘘なのですから。わからない方にもう少し説明してみましょう。
- 地球は平面なのだから、地球儀は誤りである。
- 測地したという者も、それを元に地球儀を作った者も騙されているか、嘘をついている。
- ところが、グリーソンは、それらに描かれた大陸の形が正しいという前提のもとに、単純に平面に投影して(AE地図を作成して)、「これが正しい世界の姿だ」と言った。
球体地図をパクって無理やり平面にし、「球体は間違いだ。これが正しい世界の姿だ」と言っただけの代物です。そもそも、誤りと自分から認めているものを元ネタにし、それを投影して地図を作ったのですよ? こんな馬鹿げた話は聞いたことがありません。
疑問を持たない平面信者
もちろん、こんな地図では、観測事実と一致するはずがありません。そのため、平面信者の中にもこれに疑問を持ち出す者が増えてきているようです。その一方で、相変わらず、こんなものを「世界の真の姿である」として何の疑問もなく利用している者もいます。
例えば、平面信者による「飛行機の緊急着陸地点がおかしい。球体地球なのであれば、不自然に遠い場所に着陸している」という議論がありますが、それらの議論では、一体全体どういうわけか、この平面地図が正しいものとして話を進めているのです。
論者はなぜそれが正しいとわかったのでしょう? 自分で測地でもしたのでしょうか? 単純に「グリーソン地図、AE地図が世界の真の姿」という前提で話を進めているだけです。こういった議論は、前提からして明らかな誤りであり、無効です。
あるいは、オーストラリアの東西方向は、球体地球に比較すると、東西が二倍近くの長さに見えますが、どうやって「球体地球のオーストラリアの形は嘘だ、東西方向は、本当はこの二倍位ある!」とわかったのでしょう?もしかしたら、南アフリカや南アメリカとの距離だけが大きくて、オーストラリア自体は球体地球とほぼ同じ形をしているのかもしれません。
そんな検証も一切していないのです。
まとめ
平面説がいかにデタラメなものかわかると思います。都合によって、何の根拠もないAE地図を「世界の真の姿」として話を進めてしまい、その正当性の検証は一切ありません。
この地図が仮に正しいとした場合の観測事実の検証もありません。例えば、北極から観測地までの距離を求め、その観測地での北極星仰角によって北極星高度が求まるはずが、まったく一意には決まらないことなどです。
その一方で、ひたすら「水面は平面だ、だから地球は平面だ」などとやっているのが平面信者の姿というものです。


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