林千勝のトンデモ「原爆はなかった」論の大穴

この記事の三行要約

  • 林説では、広島の被害は原爆ではなく、ナパーム・毒ガス等を用いた大規模な偽装攻撃だったことになる。
  • しかし日本側の記録では広島上空で確認されたのは3機であり、通常爆撃で同規模の被害を出すには約210~220機というUSSBSの試算がある。
  • そのため林説を成立させるには、日本側の防空記録・多数の目撃者・米側の作戦や兵站記録まで含む、大規模な日米双方の隠蔽・改ざんを仮定する必要がある。

原爆の偽装なんてできるの?大編隊による通常爆撃の無理筋の続きなのですが、これを林千勝のお説に適用してみましょう。くれぐれも私は彼の著書は読んだことがありませんよ。その上で読んでください。

林千勝のお説

ただ、こんなことを主張しているようですね

  これは80年前も一緒で、
広島・長崎に落ちたのは【ピカドン】だ、と洗脳されてますが、嘘なんですね。
これはアメリカの議事録がしっかり残ってまして、
昭和20年5月の段階で、オッペンハイマーの同僚が正式に報告してるんですが、
「ピカドンの完成は1949年1月以降」なんです。

従って、広島・長崎に落とされたのは偽装でありまして、
当時、昭和20年8月の読売新聞にも出てましたけど、
数十個の空中爆発ナパーム弾、いくつかの閃光弾、人類史上最悪の硫黄マスタードガスです。
・・・毒ガス。
それと雲を発生させるサーモバリック爆弾
そして、偽装するために、ピカドンほどではない、アメリカで開発・実験で出た放射性廃棄物を、
広島・長崎の上空にばら撒いた。

【原爆症】と言わるほとんどのものは【毒ガス症】です。
医療的に見て、硫黄マスタードガスと症状はピッタリ一致してます。
放射線の症状と齟齬(そご)があるんです。

(略)

これはヨーロッパでは、かなり研究が進んでいて、かなり知られています。
アメリカでは、さすがに流布しにくいです。

でも、心ある識者の間では「広島・長崎に落ちたのはピカドンではない」というのはほぼ常識。
当時の日本の心ある医者達も「これは毒ガスだ」と、マッカーサーに訴え、
 アメリカの統合参謀本部にも訴えてるんです。
そして、訴えた人達は追放になってます。
私は当時の日本の医師の診断書も見てますけども「毒ガス」と書いてあります。

ピカドンは完成してなかったために、その代わりに偽装複合爆弾を落としたんです
理由は「完成したことにしたかった」と。
核によるウォール街の支配体制を作りたかったんですね。
或いは米ソの核競争、冷戦体制を作りたかった。
あとは「核兵器に似た爆弾で日本人を虐殺したかった」と。
でも「毒ガス」と言えないですね。国際条約違反だから。
(略)
広島・長崎にばら撒かれた放射性廃棄物は毒ガスほどではないけど、
小さな被害は出したんです。
この放射性廃棄物は・・・1943、44年?アメリカの核開発で原子炉を動かしますが、
膨大なアメリカ人が、既に放射線の被害にあってるんです。
ピカドンではなく、実験とか開発段階で。
アメリカ政府、アメリカ軍は、アメリカ市民をモルモットにして研究しています。
そうやってアメリカは自国民を攻撃してるわけですから、
敵国の広島・長崎に放射性廃棄物を落とすことは、何とも思ってないですね。
そして、それ以上に人類最悪の毒ガスです。

この話を私は講演会でしています。
なので、講演会に被爆2世・3世の方が来るんです。
みんな、感謝しています。
「お父さん、お母さんが言ってた『あれはピカドンじゃない!』と」
爆心地近くにいて、全く健康な家族や親せき一同はたくさんいるんです。
「お父さん、お母さん、お祖父ちゃん、お祖母ちゃんが言っていた、TV新聞と違うこと」
例えば、B29はいっぱい飛んでるんです。目撃談もあります
キノコ雲も1つじゃないんです。2つの映像もあるし、3つの証言をした絵も残ってます。
毒ガスの雲は1つじゃないんです。

そして、2世・3世の方は医者に、
「あなたは2世・3世だから、そのうち癌になる」と、脅かされてるんです。
「治療した方が良い」とか、「検査が良い」とか。
遺伝的影響は、アメリカでも確認されていません。
広島に放射線研究所という、日米共同で・・・
被爆者、2世、3世の方々を全く治療せず、調査だけし続ける機関ですが、
そこが80年かけて遺伝的影響は発見できていません。

どうやったらこれが成立するのか?

この話が成立するためには、まずB-29が3機では不可能でしょう。素人なので、おそらくとしか言えませんが。飛行距離を考えると最大積載量は10トン程度とはAIによる概算です。3機で30トンということです。

日本側の公式記録では、事前に飛んでいた偵察機以外は、3機しか確認されていません。ところが、林は「B-29はいっぱい飛んでるんです。目撃談もあります」と主張していますね。つまり、林は、「日本の公式記録はウソ」としているわけです。

ということは、日本側が大量爆撃に全面協力していたことになります。日本政府は、米国による「核兵器は完成済み」という嘘を世界に広めるため、自国民を欺き、平気で大虐殺させたということになるわけです。

そして、実際にはB-29の大群が来ていたのに、軍の隅々まで指示をし、3機しか来なかったようなフリをさせ、記録にも残させ、さらには、生き残ったほとんどの国民の口も封じたということになります。これは、広島だけじゃありません。Enola Gayが飛行した、途中の九州や四国でも民間人が認識していたはずです。これは後述します。

これが論理的帰結というものですよね?

いや、「原爆は偽装だった!」だけに注目しないでくださいよ。「林千勝の大作戦」が成立するためには、こうでなければ辻褄が合わないでしょう?むしろ、原爆偽装よりこちらの方が大センセーショナルでは?なにせ、日本は米国の計画を事前に知っており、周到に準備させ、自国民を大虐殺させていたということなんです。これ以外の解釈がありますか?

なぜこの点を皆さんとりあげないのでしょうか?

先のUSSBSによる見積もりを再度出してみましょう。広島と同程度の被害・死傷者を通常兵器で発生させるには、

  • 焼夷弾:1,200トン
  • 高性能爆弾:400トン
  • 破片爆弾:500トン
  • 合計:2,100トン
  • B-29:約210~220機

と推計しています。これだけの大編隊が1945/8/6に広島上空に飛来したのです。林によれば、これが史実だそうです。この結論にならざるをえません。

民間人はどの程度この大群を認識し得たか?

さて、記録に残っているのは3機ですが、いずれもB-29で、その詳細はこうです。

  • Enola Gay:原爆「Little Boy」を搭載・投下
  • The Great Artiste:爆発の科学的観測を担当
  • Necessary Evil:爆発の写真撮影・記録を担当 

Enola Gayはテニヤン島を出発後、途中の硫黄島あたりで他2機と合流して広島に向かったと言われます。

AIに聞くと、おおまかな経過は次の通りです。

テニアン出発:02:45(テニアン時間)
硫黄島付近:06:00ごろ、約9,300 ft(約2,830 m)で観測機2機と合流。
その後、日本へ向けて上昇
07:30ごろから本格的に爆撃高度へ上昇
08:40ごろ:31,000 ft(約9,450 m)で水平飛行
08:50:四国上空を約31,000 ftで通過
09:05:広島が視認される頃には31,060 ft(約9,470 m)
09:15(広島時間8:15):31,060 ftからLittle Boyを投下。

つまり、広島に近づく最後の約1時間は、おおむね高度9,400~9,500 m(約31,000 ft)を維持していたと考えてよいです。

ちなみに、Enola Gayの航法士ヴァン・カークの記録にも、投下時の高度を31,060 ftとする記録があります。そして今回の議論との関係では、これは結構重要です。

8:50ごろ四国上空 → 31,000 ft → 広島へ北上 → 8:15投下

という経路なので、もし「原爆ではなく大量の通常兵器を積んでいた」と仮定するなら、同じ高度・同じ航続距離条件でどれだけの兵器を運べたかを考える必要があります。

なお、31,000 ftは約9.45 kmです。これは当時のB-29としてはかなり高高度で、通常の地上からの目視では航空機が小さく見える高度です。 

しかし、民間人でも認識できたのでは?

はい、十分に認識され得ます。ただし「31,000 ft(約9.45 km)なら地上から見えない」ということではありません。B-29はプロペラ機なので、飛行音も発生しますし、晴天なら機体そのものも視認可能です。実際、広島周辺では8月6日朝に3機のB-29を目撃したという証言が残っています。

ただし、高度約9.5 kmでは、

  • 機体はかなり小さく見える
  • 飛行速度が速いため、視認時間は短い
  • 晴天・雲量・太陽の位置によって見え方が大きく変わる
  • 地上では「航空機がいる」と分かっても、機種や機数を正確に判別するのは難しい

という条件があります。したがって、「高高度だから誰にも見えなかった」は成立しません。

むしろ今回の問題では、実際に日本側の監視哨が3機を捕捉していることが重要です。さらに一般市民にも3機を目撃した証言があります。そして、もし林氏の説のように実際には数十機以上のB-29が広島上空にいたとするなら、話はかなり違ってきます。

3機なら「高高度を飛んでいて、目撃が限定的だった」ことは十分あり得ます。しかし、数十~数百機なら、高高度でも空の一角に多数の大型4発プロペラ機が現れることになるため、目撃・監視記録がもっと大量に残ることが期待されます。

この点は、Palmerや林氏の「多数機による偽装」を検討する上で重要なポイントです。 

これだけでは済まない。米側記録の改ざん

当然ですが、こういう話になりますね。

もちろんですが、米側の記録も大幅に改ざんしなければなりませんね。


AI:はい。もし「実際には多数のB-29による通常兵器攻撃だった」という仮説を成立させるなら、米側の公式記録も大規模に改ざん・隠蔽されていたことになります。

少なくとも改ざん対象は、

  • エノラ・ゲイの搭載兵器・飛行記録
  • グレート・アーティスト、ネセサリー・イーヴルの任務記録
  • B-29の出撃記録・航法記録
  • 爆弾・燃料などの補給・兵站記録
  • 広島攻撃の作戦命令・任務報告
  • 写真・フィルム・航空機搭載カメラの記録
  • 帰投後の搭乗員の報告・証言

などです。

しかも、これは「米政府が戦後に資料を書き換えた」というだけでは済みません。多数の航空機・大量の兵器を実際に運用したのであれば、その時点で大量の運用記録が発生するからです。

したがって仮に、「実際には原爆ではなく、3機以上、場合によっては数十~数百機のB-29による通常兵器攻撃だった」と主張するなら、日本側の防空記録だけでなく、米側の作戦・兵站・航空記録まで含めた巨大な組織的隠蔽を想定する必要があります。

そして、これは単なる「原爆はなかった」という主張とは違い、どの記録を、誰が、いつ、どのように改ざんしたのかという具体的な説明が必要になるところです。


そうなんです。「原爆はなかった、通常兵器や毒ガスによる偽装であった」というレベルの話であれば、そりゃ何とかなる可能性はあるかもしれません。しかし、加害者側も大量、被害者側は途方もない人数を巻き込んでおり、それらすべてを口封じするか、騙すしかないのです。

これをどうやったのでしょうか?

林の主張するような、「B29はいっぱい飛んでるんです。目撃談もあります。」というレベルの話ではなくなってくるのです。普通に考えて無理なのですが、林がそういう主張するのであれば、林には、これを立証する責任があります。

非常に興味深いので、是非お聞かせ願いたい。お待ちしております。

 

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