この記事の三行要約
- ロウボサムの「Zetetic方法論」は、自分の観察と実験を重視する経験主義を掲げながら、実際には自説に都合の良い伝聞だけを採用し、反証は最初から排除した。
- 南半球を自ら観測していないにもかかわらず、「偏見のない友人」の証言を根拠に平面説を正当化しており、選択的懐疑や確証バイアスという矛盾した態度が見られる。
- この結論ありきの姿勢は現代のエリック・デュベイらにも受け継がれており、平面説はその出発点から同様の方法論的問題を抱えている。
Zetetic方法論とは何か?
フラットアーサーの愚かさ(77):詐欺師デュベイが南半球の星空を説明!の核心をまとめてみると、こういうことです。
19世紀の「元祖フラットアーサー」であるロウボサムは、Zetetic(ゼーテティック)方法論を唱えました。
それが現在でも、極めて悪質な平面詐欺師であるエリック・デュベイなどにも受け継がれています。
このZeteticとは「理論や権威ではなく、自分自身の観察と実験から結論を導く方法」です。つまり、 学者(権威)が数学や理論から球体と主張するに対し、「私自身が観察し、実験して結論を導く方法である」というわけです。つまり、経験主義です。
権威は一切信じない。自分の目で見たものだけを信じる
一見してとても良さそうですね。しかし、自分の経験を第一と唱えているにも関わらず、
- 都合が良ければ他者の伝聞をもとに論じてしまう
- 都合の悪い情報は切り捨てる(明確にそう宣言している)
結局のところ、自分の妄想を優先する思想でしかないのです。
具体的には、『Zetetic Astronomy: Earth Not a Globe (Third Edition, Revised and Enlarged, 1881)』289-290ページにて、こう言っていますね。
4th–The southern region of the earth is not central, but circumferential; and therefore there is no southern pole, no south pole star, and no southern circumpolar constellations; all statements to the contrary are doubtful, inconsistent with known facts, and therefore not admissible as evidence.
第四。地球の南方地域は中心ではなく外周部である。したがって、南極というものは存在せず、南極星も存在せず、南天の周極星座も存在しない。これに反するすべての主張は疑わしく、既知の事実とも矛盾しているため、証拠として採用することはできない。
この論理としてはこうです。
- 地球は平面であるから(この結論が最初に置かれる)、南方の端はこの平面の外周部である
- だから、南極(という点)は存在していない
- 当然ながら、真南の空にあるという南極星(そのまわりを星がぐるぐる回る)は存在しない
- さらに当然ながら、南天の周極星座(沈まない星座)も存在しない
- そして最重要な点として、「all statements to the contrary are doubtful, inconsistent with known facts, and therefore not admissible as evidence(これに反するすべての主張は疑わしく、既知の事実とも矛盾しているため、証拠として採用することはできない)」と宣言。
口先では経験主義と言いながら、自分では一度も見たこともないものについて、自らの誤った結論に無理やり合致させる結論を導きだし、その結論に反するものは採用しないと言っているのです。
平面説の本質
平面説とは、その開始当初からこういったインチキだったのです。「自分の目で見たものを信じる方法論だ」と言いながら、意に沿わないものは無視すると、あからさまに宣言しています。
詐欺師エリック・デュベイの言動を見れば明らかなように、現代の平面信者にもこのような態度は受け継がれています。
- 最初に結論があり、それを疑うことはない
- この結論に資する素材を「自分の目で見る」
- が、「自分の目で見れない」ものも、都合がよければ採用する。
- 都合が悪いものは無視する、証拠として採用しない
これがZeteticの本質です。さらに彼は、その前段にこんなことを書いています。
3rd.–The earth is a plane, with a northern centre, over which the stars (whether fixed in some peculiar substance or floating in some subtle medium is not yet known) move in concentric courses at different radial distances from the northern centre as far south as and wherever observations have been made.
第三。地球は北を中心とする平面であり、その上空を星々が(ある種の特殊な物質に固定されているのか、あるいは微細な媒質の中を浮遊しているのかは、まだ分かっていないが)北の中心から異なる半径をもつ同心円軌道に沿って運動している。The evidence is the author’s own experiments in Great Britain, Ireland, Isle of Man, Isle of Wight, and many other places; the statements of several unbiassed and truthful friends, who have resided in New Zealand, Australia, South Africa, Rio Janeiro, Valparaiso, and other southern localities, and the several incidental statements already quoted.
このことは、南方で観測が行われたあらゆる地域においても成り立つ。その証拠としては、著者自身がイギリス、アイルランド、マン島、ワイト島その他多くの場所で行った実験、さらにニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、リオデジャネイロ、バルパライソその他南半球各地に居住した、偏見のない誠実な友人たちの証言、ならびに前述したさまざまな付随的証言がある。
要するにロウボサムは、こう言ってるのです。
- 地球は平面であり、北極を中心として星がぐるぐる回っている
- これは、南方(南半球)でも同じである
- 自分はイギリス諸島でしか観測したことはない
- しかし、偏見のない誠実な友人たちの証言などでは、やはり南半球でも同じように北極を中心として星がぐるぐる回っている。
いかに馬鹿げているかがわかるでしょう。簡単に言えば、「そんはずあるかい!」です。19世紀の英国では、こんな愚かな議論がまかり通ったのかもしれませんが、現代人は一笑に付すレベルです。
もちろん、私は自分の目で「南半球の星が南天の一点を中心にぐるぐる回る」ところを見たことはありません。「教育やメディアによって植え付けられた概念」でしかないのです。
しかし、こんなことは、確認しようと思えば、すぐにでもできることです。自分で行ってもよし、ネットで南半球の人に連絡する、アルバイトを雇うなどして確認できることです。
これが平面説の伝統
ロウボサムやデュベイの態度というのは、簡単に言えばこういうことです。
経験主義を標榜しながら、実際には選択的懐疑と確証バイアスに陥っている
- 選択的懐疑(selective skepticism)
自分に都合の悪い証拠だけを厳しく疑い、都合の良い証拠は無批判に受け入れる態度。 - 確証バイアス(confirmation bias)
自分の信念を支持する情報だけを集め、反証となる情報を軽視する認知バイアス。
ジョージ・オーウェルのdoublethinkという概念も当てはまるようです。
- 矛盾する二つの考えを同時に正しいと信じる能力
平面説というのは、その開始当初からこの誤謬に陥っているのです。 つまり、
これが平面説の伝統である
ということができます。



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