フラットアーサーのトンデモはこちら、詐欺師エリック・デュベイについてはこちら
この記事の三行要約
- デュベイは重力を否定し、密度や圧力勾配で物体の落下を説明するが、圧力勾配が生じる理由や「下」という方向が決まる理由を説明できておらず、論理が循環している。
- さらに、真空中で物体が下に落ちる理由や、ヘリウム風船が上昇する際の浮力の役割も説明できず、自身の主張と矛盾している。
- 結果として、重力の代替理論として成立せず、かえって現代物理学の説明の一貫性を再認識させてしまう。
平面詐欺師エリック・デュベイ(Eric Dubay)によるツッコミどころ満載の馬鹿げた書籍『Flat Earth FAQ』から、第21章『21. How Does Gravity Work on Flat Earth?(平面説での重力の仕組み)』ですが、いや、これには本当に驚きました。
「科学的にトンデモだ!非科学的だ!」などと言うつもりは一切ありません。私自身は、科学に対する疑問を大事にしているつもりです。
ここで言いたいのはそういうことではなく、科学云々は脇に置いといて、それ以前に論理としてまったく成立していないことです。あまりにひどくて笑えるレベルです。
では、この馬鹿さ加減をご一緒に見ていきましょう!
デュベイの重力不存在論
Quite simply, objects fall or rise based on their relative density to the medium surrounding them.
ごく単純に言えば、物体は、それを取り囲む媒質に対する相対的な密度に応じて落下したり上昇したりします。
平面信者の定番論理ですね。これ自体が誤りであることは何度も指摘してきましたが、ここでは置いときましょう。そんなものかなと理解して結構です。要するに、リンゴは空気よりも密度が大きいから落ちるのだそうです。
では、真空で実験した場合、なぜ物が落ちるのでしょうか?
In a vacuum chamber the medium of air is removed completely so all objects including a feather and a bowling ball will fall at this same maximum rate. By removing the medium from the equation altogether, all objects including a helium balloon will fall to the ground simultaneously. Without any medium to move through, the fall rate of all objects is indeed equal, but this has nothing to do with some mythical attractive pulling force, and everything to do with the fact that the density of the surrounding medium has been reduced to zero. Therefore, in reality, since a feather, bowling ball, or anything else inside a vacuum chamber is infinitely denser than empty space which has a density of zero, it all falls at the same rate of 9.81 m/s/s which is actually “the constant fall rate of matter in empty space,” or “maximum acceleration towards density equilibrium,” but not a “uniform speed of acceleration due to gravity.”
真空容器では空気という媒質が完全に取り除かれます。そのため、羽根もボウリング球も同じ最大速度で落下します。媒質そのものを取り除けば、ヘリウム風船も含め、すべての物体が同時に地面へ落下します。通過する媒質が存在しない以上、すべての物体の落下速度が等しくなるのは事実ですが、それは神話のような引力によるものではなく、周囲の媒質の密度がゼロになったためです。したがって実際には、真空容器内の羽根やボウリング球、その他あらゆる物体は、密度ゼロの空間より無限に密度が高いため、すべて 9.81 m/s² の同じ速度で落下します。つまり、この値は実際には「真空中における物質の一定落下速度」、あるいは「密度平衡へ向かう最大加速度」であり、「重力による一定加速度」ではないということになります。
説明になっていないことは明らかです。さっきは「物体は、それを取り囲む媒質に対する相対的な密度に応じて落下したり上昇したりします」と言ってたのに、「取り囲む物質がない」状態の場合、「あらゆる物体は、密度ゼロの空間より無限に密度が高いため、すべて 9.81 m/s² の同じ速度で落下」するんだそうです。なぜそうなるのか説明がありません。
「それを重力加速度、重力って呼ぶんだよ、この馬鹿!」というツッコミはなしね、お客さん。もっと面白くなりますから。
As for why objects fall downwards when dropped rather than upwards or sideways, firstly, there is a pressure gradient formed by the amount of stacked air/water/land over you in a column which increases the pressure/weight/density the farther down you go and that defines direction. Secondly, helium balloons fall up, not down, proving there is no downward directional bias.
では、なぜ物体は落とすと上や横ではなく下へ落ちるのでしょうか。第一に、あなたの上に積み重なっている空気・水・地面が柱状になって存在することで圧力勾配が形成されます。そして、下へ行くほど圧力・重さ・密度が増加し、それが「方向」を定義します。第二に、ヘリウム風船は下ではなく上へ落ちます。これは、「下向き」という特別な方向性(方向への偏り)は存在しないことを証明しています。注:つまり、重力という下向きに特化した力ではないという意味らしい)。
デュベイ論の致命的欠陥が明らかになりました。圧力勾配によって「下」という方向が定義されると言い出しました。この論理の欠陥としてはいくつかあります。
- 圧力勾配が生じる理由がまったく説明されていない(もちろん、重力によって生じるから説明できない)
- 圧力勾配によって「下」という方向が定義される理由がまったく説明されていない(もちろん、重力が決めているので説明できない)
- 圧力の強い方に物が集まってくる理由が説明されていない(もちろん、重力が引き寄せているので説明できない)。
- 圧力勾配を出してきたことで、逆に真空中では「下」が決まらないことを認めてしまっている(もちろん、そもそも重力が決めているから説明できない)。
- 不思議なことに、この章には浮力(buoyancy)という言葉が二度出てくるのに、その役割が一切説明されていない。
圧力勾配が生じる理由の説明がない
まず、なぜ圧力勾配が生じるのか、まったく説明されていません。
もしかしたら、「物が下へ集まった結果として、圧力勾配が生じる」と言い出すかもしれませんが、すると、そもそも「なぜ物が下に集まるのか」を説明せねばなりません。特に、大気や水は同じ種類の分子から構成されており、静止した状態では密度はほぼ一様です。重力のような外力がなければ、特定方向に集まる理由などありません。
つまり、圧力勾配の生じる理由自体、「下」という概念を前提としています。しかし、ここで百歩譲って、「物が下へ集まった結果、圧力勾配が生じる」を認めたとしましょう。
- 圧力勾配は、「重い物が下に集まった結果」である。
- 一方で、「下」という方向は圧力勾配によって決まるという。
すると、こういう構造の論理になります。
- 「下」がある→重い物が下へ集まる→圧力勾配ができる→圧力勾配が「下」を定義する
ただの循環論法です。
圧力勾配が「下」を定義する理由の説明がない
デュベイは、圧力の強い方が下、弱い方が上と言ってるだけです。なぜそうなるのでしょうか?まったく説明がありません。
圧力の強い方に物が集まってくる理由の説明がない
さらにおかしなことは、「圧力の強い方に物が落ちる(集まってくる)」理由を説明できていないことです。これを考えてみてください。大気圧も水圧も下の方が大きいですね。つまり、密度が高くなっているわけです。空気もですが、水分子も若干高密度になっているとのこと。
「密度の大きいものが下に落ちる」はずでしたよね? 密度差によって物が移動するのであれば、なぜ、空気より重い物は、上方の大気密度が小さい方ではなく、下方の大気密度が大きい方を目指して移動するのでしょうか?
真空中で物が落ちる理由が存在しない!
真空中では圧力勾配の生じようがないので「下」という方向を定義できないはずです。 にもかかわらず、きちんと物体は「下」に落ちますね。なぜでしょうか?この答えもありません。デュベイは自分で「下に落ちます」と認めているのにも関わらずです。完全に矛盾しています。
これまでの説明がわからなくても、この点は誰でも理解できるでしょう。
- 圧力勾配によって「下」という方向ができる。
- すると、圧力勾配が決して生じることのない真空中において、なぜ物は「下」に行くのか?
浮力という言葉の説明がない
さらに、「第二に、ヘリウム風船は下ではなく上へ落ちる。これは下方向への偏りが存在しないことを証明している」と言ってますが、この主張も成立しません。
ヘリウム風船が上昇するのは、浮力が重力を上回るためです。つまり、下向きの力(重力)と上向きの浮力が同時に作用した結果、合力が上向きになるだけです。したがって、ヘリウム風船が上昇することは、「下向きの力が存在しない」ことの証明にはなりませんね。
デュベイの無様な説明によって、逆に現代科学への確信を強化する結果に
もし平面説が真実であり、重力不存在が真実だとしても、デュベイのような誰でもすぐにデタラメとわかるような論理を振りかざしては、逆に不信感を持たれることは必至でしょうね。
どうしても重力を認めたくないようですが、しかし「下向きの力」が必要であることは明らかです。今後は「神の力によって」という説明でも加えたらいかがでしょうか?
最初にデュベイ批判をして以来、「こんなデタラメを吹聴すると、かえってあなた方の損になるからおやめなさい」と言い続けてきたんですが、無視されてきました。
しかし、結局のところこれは、詐欺師が布教し、極めて愚かな人が鵜呑みにして信仰するという宗教にすぎませんから、他のカルト宗教と同様に止められないものなのかもしれません。そもそも批判的思考ができない人のための、信仰の維持を目的とするので、どんな嘘・デタラメでも構わないのです。
コメント