原爆なかった論の戯言:林千勝の大嘘(18)〜黒い雨の印象操作

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この記事の三行要約

  • 林千勝は、黒い雨を「雨・ナパーム・毒ガス・放射性廃棄物が一体化したもの」と断定する一方、その根拠として被爆者証言を並べるだけで、具体的な因果関係を示せない。
  • 引用された証言には「油のような雨」「異臭」「魚や牛、人間への被害」などがあるが、それらがナパームや硫黄マスタードによるものという証明をしていない。
  • 林は証言の印象を利用して自説を補強しているだけであり、「原爆ではなく毒ガス等によるもの」という結論を科学的・論理的に全く裏付けていない。

原爆なかった論の戯言:林千勝の大嘘(17)〜『あの日のB29の目撃証言』のつっこみどころ(1)の続きを書こうかと思ったのですが、意外にややこしいので保留します。

というのも、被災者証言の中には、「どう考えても勘違いだろう」という部分があるのです。例えば、「B29が爆弾を落とすのが呉市から見えた」というのですが、20km先から長さ3mのLittle Boyを認識できるはずがありません。

ということで、後回しにして林千勝『広島・長崎 悲劇の正体』の『第24章 黒い雨』に行きます。

この章で最初に林はこう言っています。

P289:黒い雨は、雨とナパームと毒ガスと放射性廃棄物が一体化したものと考えられる、以下証言等を見ていく。

そして林はこの章以前から、毒ガスとは「硫黄マスタードガスだ」と言ってますが、上の宣言自体がおかしいことに気づきましたか?いくら証言を見たところで、そもそも無駄なんです。

林は、広島・長崎の原爆投下はウソと主張します。したがって、人類史上、人々の目の前で原爆が炸裂したことはないのです。ということは、それが起こった場合、直近にいた人間がどうなるかもわからないはずです。林はしきりに、「これは原爆ではない」と主張します。しかし、原爆ではなく毒ガスであると主張するためには、まず「原爆の症状はそういうものではない」と言わねばなりません。

単純な論理ですよね?

一般には毒ガスの症状と原爆の症状はかなり似ていると言われています。林の立場からすれば、「それは故意にそういうことにしたんだ」ということになるでしょう。しかし、「原爆ではない」と主張するのであれば、林は「原爆の症状とはこういうものだ、それとは違うからこれは毒ガス以外にはありえない」と言えなければならないのです。

わかりますか?こういうことです。

  • 林の主張では人類史上人々の目の前で原爆が炸裂したことはない
  • そんな目にあった人は存在しないので、その症状など誰もわからない
  • しかし、林は「これは原爆の症状ではなく毒ガスだ」と主張する
  • なぜ林は、これが毒ガスの症状であって、原爆の症状ではないことがわかるのか?

事実云々の問題ではなく、単純に論理の問題です。林の主張は矛盾しています。

ともあれ、林による「切り取り証言」を見ていきましょう。実際のところ、この章においても、「こんな状態になった」という証言をただ並べただけです。なぜそうなったのかという林からの説明は一切ありません。最初の林による宣言以外は、被災者の証言しかないのです。

つまり、林はこれらの証言を並べ、読者が勘違いしてくれることを期待しているだけなのです。

さて、冒頭の宣言以外はすべて他からの引用なので、以下では本そのものを文字起こしして示します。P289-295です。

引用元は『原子爆弾 広島・長崎の写真と記録(仁科記念財団編纂)」、『広島原爆戦災誌 第1〜5巻』、『広島原子爆弾被害調査報告(気象関係)』です。いずれもオンラインで無料で閲覧できるものです。

黒い雨のどしゃ降りは夕立雨のようで、その範囲は長径29キロメートル、短径15キロメートルの長円形を示した。この黒い泥雨は強い放射能をもっていたので河のウナギ、ハヤや池のコイなどは全滅、草をくった和牛が下痢、稲の害虫はほろび、人間も脱毛、血便など、毒性の強大なことを示した。この大雨は3時間に50~100ミリというすごさであった。総雨量1000万~2000万立方メートル(推算)[1]。

(「爆心」直下から西2・5キロメートルの己斐上町で)イカ墨のような真黒い水で川は大出水。毒水だから飲むなと止めても避難者が飲んだ。みな全身ヤケドして、足はただれ、手はドロドロ、顔はふくれ上がっていた。方々で腸炎、血便、下痢が起こり、続々死んだ。泥雨の毒水で池の鯉、稲田の鯉はみな死んだ[2]。

発火時間、国泰寺町8時30分頃、雑魚場町8時20~30分頃。「火災中に降雨があって、火災が一層強くなった」と語る被爆者[3]。

中島地区には、重油かと思うほどの黒い雨が降り、誰も彼も、顔など真黒になった[4]。

(「爆心」直下から750メートルの軍管区司令部で)黒い雨が降った。痛い位大きな今迄に見たこともない気味悪いほどの大粒の雨であった。[5]

(「爆心」直下から890メートルの萬代橋で)大きな真黒い雨が降り出しました。初めは飛行機が油をまいたのかと思いました……。[6]

途中真黒な大つぶの雨が降りだして、油を飛行機でまいたのではないかと皆で心配したものでした。[7]

炸裂後、20~30分たった8時45分ごろから、「爆心」直下から約1キロメートルの神崎方面に黒い雨が降り始めた。だんだん激しくなり、午前9時20分ごろまで降り続いた。ところによっては、泥雨が降った。[8]

東・西両観音町地区では、午前9時前後20~40分間くらい、大粒の黒い雨が降ったが、火勢には何らの影響もなかった。雨は異様な臭気を持っていたという。[9]

被爆当日は、終日、巨大な塔状の積乱雲が発達した。その黒雲は、爆発後20分ないし30分から、つぎつぎ北北西へ移動していき、午前9時から午後4時ごろの間にわたって「驟雨現象」を起こした。驟雨は、市中心部では軽く、西部(己斐・高須方面)と北部(可部方面)では土砂降りの豪雨となった。豪雨区域では、1時間ないし3時間くらいの間に50ないし100ミリメートルの降雨量があったと推定されている……。雨は当初、真っ黒い泥分の多い、ねばっこく雷のような大粒の雨で、被爆者の裸身には痛いほどに粗いものであった。1時間ないし2時間ほど「黒い雨」の降ったあとは、続いて白い普通の雨が降った。[10]

(「爆心」直下から約2キロメートルの南三篠・福島地区で)大体において被爆後1、2時間後に降りはじめ、午後も断続的に降ったと思われる。このような降雨のうちにも、いっこうに火勢は衰えず、ますます燃え続けたのであった。[11]

(本川地区)午前10時前後であったが、30~40分間にわたって夕立ちのように激しく黒い雨が降った。[12]

(「爆心」直下から約2キロメートルの三篠地区で)午前10時ごろから、黒い雨が激しい夕立のように降りはじめ、15分間から20分間ぐらいでやんだ。このため三滝山の谷川の水はまっ黒になった。[13]

観音町地区内の広範囲にわたって、降雨があったが、場所によって、時間差がある。この降雨のため、火力がかえって増大したように、感じられたところもあった。泉邸付近では、午前10時ごろ降雨があった。長い時間ではなかったが、土砂降りの雨で、雨というよりヒョウと言ったほうが、適当なような大粒のものが降って来た。[14]

池の鯉や川のナマズ・ウナギなどの魚族が、黒雨水の流入によって斃死浮上した。エビ・カニは生き残った。また、牛が泥沼のかかった草を食べて下痢し、人間でも己斐・高須方面の人は、爆発後約三か月にわたって下痢する者が頗る多数にのぼった。これは水道破壊のため井戸水(地下水)を飲用したことが関与するものと推察せられる。[15]

(「爆心」直下から約2キロメートルの舟入地区で)被爆当日、雨は降らなかった。だが翌日になって、油性の含まれた雨と思われるのが降って、この雨のために、また家が燃え出したので不思議に思った者も多い。[16]

天満地区では、雨が午後2時ごろから5時ごろまで土砂降りに降った。そのあいだ、焚火にあたりたいほどの寒気がした。雨は激しい降り方であったが、火災は鎮火しなかった。[17]

三川町の裁判所のあたりまで来たとき、雨が降ってきたので、また別の何かが投下されたのではないかと思い……。[18]

己斐の山まで辿りついたとき、大粒の重油のような雨が降りはじめた。[19]

参考文献

1. 『原子爆弾 広島・長崎の写真と記録』日本記録映画財団編集 13頁
2. 『広島原爆戦災誌』第2巻 275頁
3. 『広島原爆戦災誌』第2巻 739頁
4. 『広島原爆戦災誌』第2巻 669頁
5. 『広島原爆戦災誌』第5巻 388頁
6. 『広島原爆戦災誌』第4巻 428頁
7. 『広島原爆戦災誌』第5巻 411頁
8. 『広島原爆戦災誌』第2巻 653頁
9. 『広島原爆戦災誌』第2巻 759頁
10. 『広島原爆戦災誌』第1巻 180頁
11. 『広島原爆戦災誌』第2巻 788頁
12. 『広島原爆戦災誌』第2巻 132頁
13. 『広島原爆戦災誌』第2巻 860頁
14. 『広島原爆戦災誌』第2巻 269頁
15. 『広島原子爆弾被害調査報告(気象関係)』
16. 『広島原爆戦災誌』第2巻 669頁
17. 『広島原爆戦災誌』第2巻 62頁
18. 『広島原爆戦災誌』第4巻 577頁
19. 『広島原爆戦災誌』第4巻 577頁

全く何の意味もなしていないことがわかるでしょうか?この毒性の雨が「原爆によるものではない」ことを一切証明しておらず、雨とナパームと毒ガスと放射性廃棄物が一体化したものという証明も当然ありません。

ただ証言を並べただけです。印象操作にすぎないのです。

 

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