この記事の三行要約
- 林千勝は、1973年刊『原子爆弾 広島・長崎の写真と記録』で広島爆撃調査報告の一部が「省略」されていることを、「不都合な真実」と主張する。
- 省略部分には原爆説を覆す事象の報告があったが、「いずれも根本からこの判定を覆すに足るものではなかった」と明記され、採用されていない。調査報告の結論は明確に「原子爆弾である」としている。
- したがって林の主張は、単なる省略を「原爆否定に都合の悪い証拠の隠蔽」と曲解したものである。また、「続くプロパガンダと洗脳」という章タイトルに反して内容も極めて乏しい。
林千勝著、経営科学出版の書籍『広島・長崎 悲劇の正体』から『第32章 続くプロパガンダと洗脳』についてです。
林にとっての不都合な書籍『原子爆弾 広島・長崎の写真と記録』
P374:1973年8月6日に発行された『原子爆弾 広島・長崎の写真と記録』(仁科記念財団編纂、光風社書店)は、さすが仁科記念財団編、不都合すぎる真実が詰まっている。まずもって、航本技術部『廣島爆撃調査報告』の「原子爆弾ニ非ズトスル各種ノ事象」の項は「省略」されている。
ここで林が言っているのは、原爆なかった論の戯言:林千勝の大嘘(15)〜廣島爆撃調査報告のウソで論じた『陸軍航空本部技術部広島爆撃調査報告 昭20・8・10』というものです。
報告書全文は、『広島県史 原爆資料編』(国会図書館)にあります。205コマ(印刷ページ363)〜212コマ(印刷ページ376)の部分です。
これが『原子爆弾 : 広島・長崎の写真と記録』(国会図書館)にも転載されているのですが、後ろの方が省略されています。林は「重要な部分がカットされてる!」「ほれみろ、不都合だからだ!」と騒いでいるわけです。
後者の91-93コマ(PDF91-93ページ、印刷ページ47-51)をみてください。赤枠で囲ったところに「省略しますね」と書いてあります。
無茶苦茶な林の論理
なぜなら、この調査報告の結論は、こうであり(現代語訳)、
第二 判決(※調査の結果として下した判断・結論)
今回の爆弾の主体は、普通の爆薬または焼夷剤を使用したものではなく、原子爆弾であると認める。
一般国民に対する発表資料については、別紙第一「特殊爆弾に対する一般説明」による。
全般に対する対策事項については、別紙第二「特殊爆弾調査報告」による。
そして、「原子爆弾ニ非ズトスル各種ノ事象」の項を省略した理由は(現代語訳)、
第七 原子爆弾ではないとする各種の事象 (原子爆弾ニ非ズトスル各種ノ事象)
使用された爆弾は原子爆弾であると断定できるものの、そのように断定すると、説明または解釈することが難しい各種の事象が発生していたことが見聞されている。また、これらの現象から推断して、「原子爆弾ではない」と主張する者も相当数いた。しかし、いずれも根本からこの判定を覆すに足るものではなかった(何レモ根底ヨリ之ヲ覆ヘシ得ルニ足ルモノナシ)。
だからです。ちなみに、第八「対策」、第九「信頼できる筋から得た情報」、別紙一「新聞発表を主眼として説明」、別紙二「特殊爆弾調査報告(報告の簡単なまとめ)」も省略されています。
この報告書の結論は「原爆だった」であり、その結論にいたるまでの事実や証言は説明されています。それに反する事象の報告はあったものの、いずれも根本からこの判定を覆すに足るものではなかった(何レモ根底ヨリ之ヲ覆ヘシ得ルニ足ルモノナシ)としているのです。省略した方は「省略してどこが悪い!」と言いそうです。
さて、林はここでこの書籍を「不都合すぎる真実が詰まっている」としていますが、林にとってだけ不都合という意味ですね。正常な一般人にとっては、別に不都合でも何でもありません。
そして、この書籍について、これ以外の林にとっての「不都合すぎる真実」はここでは一切指摘できていません。そして、「夥しい数の不都合」を知るにはは、ネット番組に申し込めとのことです。人を馬鹿にしてます。
この章については、上に示したような極めてレベルの低い文句が少し書いてあるだけで、論ずるに値しません。「続くプロパガンダと洗脳」という章タイトルの割に無内容です。これも実質的に2ページもない章です。


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