この記事の三行要約
- 北極星や太陽を近距離点光源とみなすと、異なる地点で観測された仰角データから計算される高度や位置が一致せず、一意に決まらない。
- 2地点の観測から求めた天体位置と、別の2地点の観測から求めた天体位置が食い違うため、同じ天体なのに複数の場所に存在することになってしまう。
- 仰角という観測事実を認める限り、緯度について平面地図を調整しても整合性は取れない。したがって、近距離天体モデルそのものが破綻していると言える。
よくよく考えてみたら、近距離天体モデルを採用する平面説において、なぜ太陽高度が一意に決まらないのか、その理由をうまく説明できそうな気がしたので書いてみましょう。
これまでに何度も説明していますが、平面説においては、天体が近距離であることが絶対に必要です。
その上で、19世紀のロウボサムなどは、太陽高度は5,000km、その直径は31kmといった値を出しています。しかし、別の場面や他の人によると、また異なる値が出てくるようです。なぜ一意に決まらないのでしょうか?
北極星を例に
ここで少し太陽のことは置いておき、北極星を例にとりましょう。北極星は動かないので、説明に都合が良いのです。
さて、球体説においては、北極星の仰角は、観測地点の北緯とほぼ同じになります。
というよりも、これは観測事実です。このあたりで説明しています。逆に、江戸時代後期の伊能忠敬も精密な日本地図を作成するにあたり、北極星の仰角から緯度、つまり南北方向の位置を把握したわけです。
そして、緯度1°あたりの距離は約111kmです(緯度は地球表面を完全に等間隔に区切ったもの。スイカを上から等間隔で輪切りにしていったものと思えばよいが、ただし、縦方向に等間隔ではなく、スイカ表面に沿って等間隔になる)。ですから、ある地点の北緯をA°とすれば、
- この地点で北極星を観測すると、仰角はA°になる
- この地点は北極から111km×(90 – A)の距離にある(北極点が90°なので、90からAを引きます)
ということになります。
では、このデータを使って平面を前提として計算するとどうなるでしょうか?
下の図では、北極星が北極点の真上にあるという想定であり、各都市の北極からの距離は球体地球において計算できる値です。
この図は、各観測地の仰角を平面説に適用すると、北極星の高度がバラバラになってしまうことを示しています。これを、ビルの高さ計測に例えると、こういうことです。
今、ビルの高さを求めようと、A地点、B地点から屋上の角度を計測しました。ビルとA,Bそれぞれの距離はわかっています。Aの方がビルから近く、Bの方が遠いです。A、Bそれぞれのビルからの距離、計測したビルの仰角からビルの高さは計算できるはずです。しかし、その結果は異なってしまうのです。
ここでもし、北極星の場所もまだわからない場合にはどうなるでしょう?次になりますね。
- アンカレジと札幌のデータを使うと、北極星の位置と高度は、青線と緑線の交点になる。
- 札幌と那覇のデータを使うと、北極星の位置と高度は、オレンジ線と緑線の交点になる。
- 那覇とマニラのデータを使うと、北極星の位置と高度は、オレンジ線と赤線の交点になる。
ますますバラバラになってしまいます。A,B二つの都市のデータを使うと、北極星までの距離と高度がわかりますが、同じBを使い、これをCと組み合わせると、また別の距離と高度になってしまいます。これでは一意に決まるわけがありません。
しかし、おかしいのはこれだけではないのです。当然ですが、アンカレジからは北極点の方向を観測し、札幌からも北極点を向いています。この二つの「視線」の二次元的な交点は、北極よりもずいぶんと手前になっていますね。ということは、この二つの視線は三次元的には実際には交わっていません。ですから、そもそも、この二つの観測データからさえ、北極星までの距離も、その高度も決定できません。
図で描くとこういうことです。札幌から見れば、北極点に向かう視線の途中に北極星があり、アンカレジはアンカレジで別の場所に北極星を見ることになります。各都市にとっては、矢印の先に北極星があることになるのです。そしてそれは、同じ位置ではありません。
つまり、二つの都市における仰角データを使って
- 北極星位置を北極点に固定すると、その高度がバラバラになる。
- 視線交点を北極星高度とすると、今度は北極星の位置が異なってしまう。もちろんそれは北極点ではない
ということになるのです。
太陽の場合も同じ問題があるが、さらに悪くなる
太陽についても全く同じ状況です。ここで太陽を北極星に見立てた思考実験をやっています。例えば、ある瞬間に太陽がマニラの真上に来たとしましょう。その瞬間に世界中で太陽の仰角を測定します。そして、マニラがあたかも北極であるかのように、マニラを中心として仮想的な緯度線を描画してやれば、北極星と全く同じ状況になるはずです。
※以下はあくまで球体地図です。念の為。
そして、当然ですが、ここでもまた平面地図を使い、観測した仰角とマニラから観測地点までの距離を使って計算した場合、A,Bを組み合わせた場合の太陽までの距離と高度は、B,Cを組み合わせた場合の距離と高度には一致しなくなることでしょう。
さらには、A,Bを組み合わせた場合でさえ、Aから太陽までの距離、Bから太陽までの距離は異なってしまい、それぞれの地点から、(太陽がいるはずの)マニラまでの実際の距離とは異なる値が出てくることでしょう。
そしてさらに、北極星の観測よりも、マニラが太陽直下になる場合の太陽の観測の場合には、フラットアーサーにとって、より悪い条件になります。なぜなら、次のような平面地図は、北極点からの距離だけが正しいのであって、それ以外の距離は球体での距離に比較すれば、めちゃくちゃになるからです。観測地点からマニラへの距離として正しいものは一切出てこないことでしょう。
ですから、こんな地図を使って太陽直下の地点から観測地点までの距離を測定し、そこで太陽の仰角を測定したとしても正常な値は一切出てこないはずです。
フラットアーサーはどうすれば良いのか?
上の説明は、球体説における各地点での観測仰角と、球体説における中心(北極あるいはマニラ)からの距離を前提とし、それをそのまま平面地球に適用したものです。
ここで、各地点の仰角は上に説明したようになるはずですし、実際に観測すれば済むことなので、この仰角データは動かしようがありません。
そして、現状でフラットアーサーの用いる平面地図は、おそらくですが、球体説と同じように緯度線が等間隔に並んでいるものです。
しかし、この地図は無効です。全く辻褄が合わないからです。
しかし、平面地図の緯度線をどう調整しようが破綻してしまうことは、既に論じています。この記事では北極星についての破綻のみを論じましたが、仮に北極星向けの地図が作れたとしても(作れはしませんが)、今回のようにマニラを中心とした場合には、また別の地図が必要になってくるわけです。
ともあれ、以上の話は、次が前提ですから、前提が間違っているのであれば、修正せねばなりませんね。
- 各地での仰角値は観測事実である。
- 緯度線は約111kmの等間隔に引かれている。
平面説地図においては、この条件からは、どうやってもまともな値は出てきません。そして、上に論じたように、おそらく平面地図をどう変更しても修正は不可能でしょう。
フラットアーサーの最後の砦としては、「仰角が嘘なんだ!」でしょうね。ご自分で測定されることをおすすめしますよ。例えば、札幌と那覇なら、それほど難しくないでしょう。そしてそれが、北極星点光源モデルと一致するかを自身で計算してみることです。
※この場合の予測としては、先の図を見てもらえばわかります。北極星高度は2,000km程度と求まりますが、その位置は北極点よりもずっと手前、緯度としてはアンカレジあたりになるでしょう。しかし、その北極星に向かう視線は交差しませんから、札幌と那覇にとっての北極星は異なる場所になります。
余談
ここで重要なことに気づきました。
球体モデルにおいては、月以外は無限とも言える遠方にあります。そして、その星の仰角というのは、単純にそれが地表面からどの角度に見えているかに過ぎません。そして、その角度こそが地球が球体であることを示しています。
※もちろん、動きまわる太陽や星については、ある瞬間における測定値です。
この状況で万が一太陽の高度を求めることができたとしましょう(これまでの議論からそんなことは不可能ですが、万が一です)。すると、どうなるか?他の星も、おそらくは月も同じ高度にならないとおかしいです。
すると、どうなるか?「球形のドームに星が張り付いている」みたいなモデルは完全に否定されます。太陽も星も、おそらくは月も常に同じ一定の高度にあることになるからです。









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