ハーバート・シェルトン:腸内寄生虫

「本当は何があなたを病気にするのか?」下巻、第8章のリファレンス[R8.103]、ハーバート・シェルトンによる小論です。

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雑音と数は真実の歩みを阻む障壁である。これらにお金と、長年の名声を合わせれば、真の進歩を阻む障壁となり、克服することは難しい。おそらく、これらすべてを合わせたものより大きいのは、古代からの誤りを利用することで得られる利益だろう。既得権益は、真理のためにそれらの利点を放棄もしないし、新たな真理の調査もしない。既得権益の地位と利益を脅かすものに対する組織的な反対と残忍な弾圧が、常に予測されねばならない。西暦1970年の現在、腸内寄生虫対策として認められている方法は、100年前、200年前と同じである。

私は最近、かなりの時間をかけて、鳥や小動物が掃き溜めの水を飲むのを観察したが、どれ一つとして病気にならなかった。私はこの問題について考え始めた。動物には殺菌された食べ物や飲み物がないという事実に思いを巡らせた。牧草地で草を食む牛や馬、肉片が残る新鮮な骨をかじる犬、殺したばかりのネズミを食べる猫、死後数日経った馬の死骸をむさぼり食うオポッサム(訳注:アメリカ大陸に生息する、カンガルーと同じ有袋類)、数分おきに車やトラックに轢かれる高速道路で死んだ動物を食べるウグイスなど、これらの動物は細菌学や、食べ物の殺菌の必要性を知らない。何がこれらの動物を守り、何が彼らの健康を保っているのだろうか?

1930年、ティルディン博士は次のように宣言した。「屠殺されたハエ、調理されたハエ、あらゆる食品に混じったハエ、納屋の前庭の肥料から絞った牛乳、ハエの排泄物や汚物だらけのドライフルーツが、昔から人類の胃の中に取り込まれてきた。しかし人類は、戦争、避妊具、堕胎、科学的な治療や予防薬だけでなく愚かな医学の致命的な影響にもかかわらず、増え続けてきた」。ティルデンは、不潔な食べ物や、汚れたミルクを勧めたのではない。動物と同じように人間も、細菌に対する我々の培われた恐怖心を滑稽なものにする強力な防衛力を持っていることを指摘したのだ。ワクチンや血清ではなく、私たち自身の通常の防御手段が、ありとあらゆる細菌や寄生虫の侵入から私たちを守ってくれるのだ。

寄生虫はその幼虫や卵とともに、バクテリアと同じくらいどこにでもいる。私たちは毎日、あらゆる方法で寄生虫と接触している。寄生虫を、どんな形であれ身体に取り込むことのないようにするのは、おそらく不可能だ。したがって、私たちは、彼らの侵入から身を守る非常に十分な防御機構を有しているに違いない。この防御機能を破壊してしまわない限りだ。

一般には寄生虫病があると考えられており、教科書には寄生虫病のカタログが載っている。衛生学的(hygienic)な考え方としては、寄生虫は、病気の付随的・偶発的要素に過ぎず、病気の原因ではないというものだ。心身の誤った習慣が身体の力を低下させ、寄生虫がその空洞に住み着くことを可能にする。繰り返すが、寄生虫は病気の原因ではなく、病気の付随物である。寄生虫が住み着くようになると、組織や分泌物のあまりの機能低下のために寄生虫が住めるようになったことがわかるかもしれない。あらゆる種類の寄生虫が住み着くには、その好都合な住処を見つけねばならないのだ。

腸内寄生虫は、消化力が正常な人、つまり抵抗力が正常な人を苦しめることはない。消化器系が損なわれ、抵抗力を失った後で、寄生虫が腸や結腸に住み着ける。腐敗や腐敗を起こさない腸管は、寄生虫やバクテリアの侵入にうまく抵抗できるのである。腸カタル(訳注:腸粘膜の炎症。主症状は腹痛、下痢)は寄生虫の侵入を許してしまう。腸カタルが潰瘍性の段階に達すると、患者の生命を脅かす深刻な脅威となる。

いわゆるアメーバ赤痢はアメーバが原因ではなく、抵抗力を破壊し、アメーバに好都合な生息環境を提供する生活要因によって起こる。アメーバを死滅させるための薬剤は全身性の障害を助長し、患者の健康を回復させることはない。いわゆるアメーバ赤痢の患者は、赤痢自体よりも、専門家による治療によって、より苦しみを増すのである。放っておかれれば、オーソドックスあるいは通常の治療でこれほど苦しむことはないだろう。専門医は、これらの人から健康と金銭を奪うのみならず、健康に戻る方法の発見に使われるかもしれない貴重な時間を奪っているのである。アメーバ赤痢は、患者が適切なケアを受けられ、アメーバ剤が口や浣腸で投与されなければ、2~3週間で回復する。これらの薬は炎症を引き起こし、潰瘍性大腸炎や直腸炎を引き起こす。そして、潰瘍が寄生虫のせいにされるのだ。

ロックフェラーが数百万人の 「鉤虫感染症」を絶滅させたと一般には考えられている。一時的に患者を和らげる薬が投与されたのだが、症状の緩和は健康の回復ではない。腸の働きを活発にする薬を投与すれば、便秘の人は一時的に楽になる。鉤虫を殺す、あるいは「駆除」する薬を投与すれば、一時的に症状が緩和されるかもしれないが、健康が回復するわけではない。

「鉤虫感染症」の原因は何か?幼稚園レベルの答えは、鉤虫が原因だというものだ。しかし、この答えが正しいのか?原因は鉤虫の背後にある。分泌と排泄が十分に損なわれ、鉤虫が消化管内で生きられるようにしている要因にある。消化管内発酵物が寄生虫駆除の力を失っている場合、鉤虫を単に排出するだけでは(これは継続的なプロセスであり、治療がない場合でも鉤虫は便のたびに排出される)、患者はさらに鉤虫に感染しやすくなる。いわゆる病気と呼ばれるものは、その原因が解明され、取り除かれない限り、改善されることはないのである。

鉤虫は正常に機能している消化管では繁殖できない。消化機能が低下した人だけが鉤虫の人質になる。不健全で欠乏した食生活の貧しい貧血の者が鉤虫侵略の犠牲者にある。鉤虫を殺しても健康は回復しないし、人間の自己防衛力は回復しない。それどころか、鉤虫を殺すために投与された薬は、消化器官をさらに悪くする。腸の運河に害虫が侵入する手助けをするのだ。

私たちの「科学者」や「科学的」な医師たちは、鉤虫に戦争を仕掛けている。寄生虫駆除剤で追いかけまわし、ヘクタコム(訳注:不明、薬剤のことか?)で駆除する。これで患者が健康に戻ることはない。短いあいだ、鉤虫から解放されたとしても、すぐにまた鉤虫に感染し、殺虫を繰り返さねばならない。なぜか?原因が改善されていないからである。殺処分が終わっても、患者は鉤虫症にかかる前と同じ病人である。次に出会う鉤虫にとっては肥沃な土壌なのである。

こうした鉤虫の孵化場が、知らないあいだに鉤虫には魅力的な生息地を消化管内に用意しているのだ。間違った生活によって、胃腸カタルになり、消化酵素の消化力を低下させる。こうして鉤虫の宿主となる。鉤虫は原因ではなく、単なる付随的なものである。生活習慣を正すことで患者を健康に戻せば、鉤虫は別の牧草地を見いだすだろう。

良く知っておくといいが、寄生虫は空の大腸では増殖せず、寄生虫の餌となる腐敗した食物を奪われると、寄生虫は死滅し、患者は助かるのである。つまり、消化管から寄生虫を取り除く最も確実で安全な方法は断食である。断食は患者の胃腸カタルからの解放にも役立つ。その後は、正しい生活習慣とまともな食事によって、寄生虫が寄りつかない消化管を維持することができる。このケアプランは、アメーバや鉤虫と同様にサナダムシにも効果的に作用する。寄生虫を殺す薬ではなく、寄生虫の食物供給を止めることで、患者に害を与えることなく、消化管を寄生虫から解放することができるのだ。

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