マーク・ベイリー:「HIVの挿入」、嘘と 「研究所漏洩」

人工ウイルス説に対する反論ですが、ここでは特に「コロナウイルスゲノム配列にHIVの配列があった」に反論しています。

で、こういった人工ウイルス説というのは、「ウイルス怖い」というウイルスモデルにとって脅威どころか、それを支持するものなので、大いに推進されているというわけです。ベイリーは次のように述べています。

振り返ってみると、当時の我々は甘すぎたと思う。ウイルスモデルが、いかに製薬、バイオテクノロジー、ゲノム産業、そして「バイオセキュリティ」監視国家の発展にとっていかに重要であるか。

これは明らかだが、ウイルスモデル支持という条件付きで、国家とその同盟組織によって(訳注:自然由来ではなく、研究所由来という)「代替」理論が許可され、推進さえされていることだ。

オリジナル文書はこちら。リファレンスはオリジナル文書を参照のこと。


「HIVの挿入」、嘘と 「研究所漏洩」

マーク・J・ベイリー

2024/6/2

COVID-19の「研究所漏洩」および「HIV(配列)挿入」という物語の起源と、それらが様々なパンデミック業界に貢献し続けている理由を解説する。1984年に初めて報告され、「HIV」のものとされたタンパク質であるgp120を考察し、ウイルス学的詐術の現代への伝播を解明しよう(訳注:gp120とは、HIVウイルスのエンベロープ表面の糖タンパク質とされる)。

2020年1月31日のこと、Pradhanらは「2019-nCoVスパイクタンパク質のHIV-1 gp120およびGagに対するユニークな挿入部分の不気味な類似性」と題する論文をプレプリント(訳注:査読を通過する前の論文)サイトbioRxiv[1](以下、バイオアーカイブ)にアップロードした。短期間の掲載にもかかわらず、2024年5月現在、この論文は116のニュースに取り上げられ、ウィキペディアの7つの項目で言及され、オンラインPDF版は480,000回以上アクセスされている[2]。

2020年2月2日、ZeroHedge(訳注:オンラインニュースサイト)は記事「コロナウイルスは『HIV挿入』を含んでおり、人工的に作られた生物兵器に対する恐怖をかき立てる」で、Pradhanらのプレプリント論文を宣伝し、約170万ビューを得た[4]。 これは、ZeroHedgeの2020年1月29日の記事「コロナウイルスの世界的流行の裏にこの男あり?(Is This The Man Behind The Global Coronavirus Pandemic?)」の110万に続くものだった。この記事の筆者(複数)[6]は、武漢ウイルス学研究所のPeng Zhouが「コロナウイルスパンデミック」の犯人の可能性が高いと示唆している:

中国をはじめ世界中で数千人が感染したコロナウイルスのパンデミックの本当の原因を知りたい人は、Peng博士を訪ねるべきだろう。少なくともメールから始めるべきだろう。Peng博士の連絡先はpeng.zhou@wh.iov.cn、電話番号は87197311である。

これは、世界保健機関(WHO)の事務局長が「COVID-19」を「パンデミック」と宣言する[8]6週間前のことであった。Peng Zhouのチームが2020年2月3日にネイチャー誌に「コウモリ由来と思われる新型コロナウイルスに関連した肺炎アウトブレイク」[9]をオンライン発表した後、私の同僚の一人が彼らに連絡を取った。これは、後に「SARS-CoV-2」と呼ばれる2019-nCoVの存在を証明したとする中国からの最初の論文の一つだった[10]。彼らの「ウイルス」分離の主張に関する異常な科学的不正は、私の同僚によって暴露され、『ウイルス学との別れ(エクスパート・エディション)』の「Peng Zhouらによる暴露情報」に収録している[11]。ウイルスという説明に合致する粒子を物理的に分離できなかったいつも通りの失敗のうえ、実験細胞株中の抗生物質量を2倍に増やしたことを研究チームが認めている。

2020年2月7日、ウェブサイトFactCheck.orgは、「新型コロナウイルスはバイオエンジニアリングされたと主張する根拠のない陰謀論」と題する記事[12]で、「HIV挿入」話に飛びついた。それに先立つすべての記事と同様、新型「コロナウイルス」の存在に対する疑問はなく、当然のこととして提示された。公に投げかけられた唯一の疑問は、疑惑のウイルスの起源であった。FactCheck.orgの記事の要約にはこうある:

新型コロナウイルスにはHIVの「挿入」が含まれており、実験室で作られた形跡があるとの不正確な主張がいくつかのネット記事でされている。しかし、この新型ウイルスが生物工学的に作られた証拠はなく、動物から採取されたものであることは明らかだ[13]。

「実験室リーク説」はその後4年間、支持するしないにかかわらず、様々な主要ニュースで取り上げられた。驚きでもないだろうが、2023年に『ワシントン・ポスト』紙が報じるには、アメリカ人の6割以上が「ウイルス」が実験室で発生したと信じていることだ[14]。この事実にもかかわらず、Children’s Health Defense (CHD)のような組織は、こういった問題について一般大衆は闇の中だと主張している。2023年12月5日、ロバート・F・ケネディ・ジュニアとCHDは『The Wuhan Cover-Up: And the Terrifying Bioweapons Arms Race(武漢の隠蔽工作:そして恐るべき生物兵器開発競争)』[15]という本を出版し、SARS-CoV-2は病気を引き起こす粒子として存在するだけでなく、実験室で作られ、新たな病気を引き起こしたという立場を固めた。本論筆者は、「健康の自由」コミュニティの多くが、「隠蔽」の側面を含め、CHDの中心的な主張への継続的固執に注目している[16]。

しかし、いくつかの点は明らかだ。(1)「研究所漏洩」という主張は、「パンデミック」の始まりの時点で良く練られ、登場していたこと、(2)武漢ウイルス研究所は、中国政府[17]も主流プラットフォームも公表していたこと、(3)いわゆる「隠蔽工作」を大多数のアメリカ人が知っていることである。この点で、オンライン百科事典ウィキペディアに「COVID-19 lab leak theory(COVID-19研究所漏洩説)」という項目が非常に大きくあることも注目に値する[18]。これが、その読者に示唆することは、つきつめれば単純に、実験室のウイルスがどのようにしてパンデミックを引き起こしたかであることかもしれない。

科学史家のNaomi Oreskesは、ウイルスが意図的に放出されたという見解を支持する信頼できる科学者を知らないと述べる。その一方で、ウイルスが偶発的に逃げ出したとする説は、よりありそうだとする[19]。

筆者の視点からすれば、現在のところ推測の域を出ないのだが、ZeroHedge[20]のような金融・政治ブログサイトが、2020年1月に「コロナウイルスの流行は、たまたま研究室から逃げ出した兵器化されたウイルスではないのか」[21]という記事を書き始めたのはなぜなのか。このような「機能獲得」や「生物兵器」ストーリーの背後の根拠のないウイルス学的主張について、我々はそれらが依拠する関連科学文書を解体してきた[22]。このような話は、ウイルス学者の主張に惑わされた人々や、「ウイルス」や伝染病を維持するためにガスライティングを行う(あるいはガスライティングされる。訳注:嘘情報を信じ込ませ、現実感覚を失わせること)人々によって流布されることがほとんどと、我々は推測している。

2024年5月2日、ZeroHedgeは5年連続で人工ウイルスの話を継続している。「ライブを見る:Peter Daszakが、内部告発文書によって危険な武漢の研究についての詳細が暴露された数日後に証言する」[23]という記事だ。

一方、ジャーナリストのPaul Thackerが月曜日に明らかにしたことは、Daszakによる研究にさらなる疑問を投げかける一連の文書と、武漢ウイルス研究所での危険なキメラウイルス作成のためのウイルス研究に資金提供したことを示す論文に関する米国立衛生研究所の発言である[24]。

PradhanらやRichard Fleming博士のような率直な人物の関心を引いた「HIV gp120挿入」やその他の「疑わしい」配列については、まったく触れられていない[25]。ZeroHedgeの最新記事は、議会の証言、国立衛生研究所の助成金、Peter Daszakのエコヘルス同盟と武漢ウイルス研究所の活動に言及している。これらはすべて、次のような重要な信条を支持し続ける。 (1)COVID-19はパンデミックであり、(2)SARS-CoV-2が原因であり、(3)「コロナウイルス」を使った実験が行われている。実際、ZeroHedgeの記事で紹介された議会公聴会のビデオの中で、Raul Ruis2下院議員[26]は次のように述べる。「ウイルスが研究所由来か自然由来なのか、いまだ不明である。二つの連邦政府機関は、ウイルス研究所由来説を、低いか中程度の信頼度で評価しており、四つの政府機関は、ウイルス自然界由来説を低い信頼度で評価している」[27]。

2020年に我々が真剣に信じていたことは、COVID-19の「パンデミック」が年末までに収束することだった。SARSCoV-2のエビデンスの欠如、ヒトの診断検査されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の不適切な使用、WHOの無意味な症例定義に関する不正を暴くことによってである。振り返ってみると、当時の我々は甘すぎたと思う。ウイルスモデルが、いかに製薬、バイオテクノロジー、ゲノム産業、そして「バイオセキュリティ」監視国家の発展にとっていかに重要であるか。

これは明らかだが、ウイルスモデル支持という条件付きで、国家とその同盟組織によって(訳注:自然由来ではなく、研究所由来という)「代替」理論が許可され、推進さえされていることだ。そこで、SARS-CoV-2は人工ウイルスというシナリオの最初のきっかけである2020年1月のPradhanらの論文に話を戻そう。ウイルスモデルやパンデミック業界の受益者は、この話を気にすることはないだろう。新たな 「ウイルス 」の詐欺は、古い「ウイルス 」の詐欺を広めるのに役立ったからである。このケースの場合、それは(訳注:HIVウイルスの)gp120の主張される性質に関連する。つまり、主にこのタンパク質とそれに対応する遺伝子配列が『HIV』に属するということである。

しかしながら、gp120がどのウイルスに属するかという証拠が、実際にどこにあるのだろう?1997年、Bessらは「マイクロベシクルは精製HIV-1製剤に含まれる汚染細胞性タンパク質の供給源である(Microvesicles Are a Source of Contaminating Cellular Proteins Found in Purified HIV-1 Preparations)」を発表し、そこでこう述べている。「HIV-1粒子はいくつかの細胞性タンパク質を含むことが知られているが、HIV-1感染H9細胞からのマイクロベシクルは、HIV-1 gp120SU [SU = 「表面エンベロープ」]をほとんど、あるいは全く含まないようであった」[29]。 記載された方法論によれば、「HIV-1(MN)/H9は、スクロース密度勾配での連続フロー超遠心分離によって、6リットルの細胞培養上清から精製された」とある。この論文には、彼らが「精製されたHIV-1」と主張する調製物の電子顕微鏡写真が掲載されていた。この論文はパース・グループ(訳注:オーストラリアの反HIV/エイズ組織)のEleni Papadopulosの注意を引いた。

1997年3月まで、理由は不明だが、[リュック・モンタニエのグループもロバート・ガロのグループも]、また他の誰も、グロス(gross)細胞培養で見られる多種多様な粒子のどれが1.16 gm/mlで存在するかを示すバンド状(精製)物質の電子顕微鏡写真を発表したことはなかった[30]。

Bessらは、H9細胞株のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動[31]の結果を発表した[32]。最初の1株(A)は「HIV」非感染とされ、次の2株(BとC)は「HIV」感染とされた。パース・グループは2011年にこの論文について詳細な解説を行い、ゲル電気泳動データの意味を次のように要約した。

図1. 2011年にパース・グループがコメントしたBessら、Virology 1997のゲル電気泳動データ: A=未感染、B、C=「感染」。

誰でもわかるだろう、3つのゲルの電気泳動パターンほぼ同じだ。(Brent)Leung[33]は、42.7kDaのマーカータンパク質のすぐ下に線を引いたが、この線より上のゲルは同一である。この線より下のゲルBとCでは、ゲルAと比較して染色強度に若干の違いがある。同じタンパク質が3つのゲルすべてに存在するが、いくつかのタンパク質の量には若干の違いがある。同じタンパク質がゲルA、B、Cにあるので、BとCには「余分な」タンパク質は存在しないと結論せざるを得ない。つまり、「精製ウイルス」にはHIVタンパク質が存在しない。HIVタンパク質がないということは、HIVがないことだ。ではなぜ、ゲルBとCでBessはp6/p7、p17、p24をHIVタンパク質と表示したのだろうか?

本小論、およびgp120がHIVに特異的であるという主張に関連して、Bessらの1997年のゲル電気泳動に戻り、120kDaのバンドを調べることは有益である。図2が明確に示すように、非感染細胞(A)、「感染」細胞(BとC)にかかわらず、3つのゲルのすべてが120kDa付近にバンドを示している。言い換えれば、彼らの実験によれば、gp120(あるいはこのサイズのタンパク質)が「HIV」に特異的であるという証拠はない。細胞性タンパク質としか言いようがない。

図2. Bessら、Virology 1997年、116.3kDaマーカータンパク質を中心としたゲル電気泳動データ: A=未感染;B、C=「感染」

Bessらのゲル電気泳動は、HIVに特異的なタンパク質を検出しているという彼ら自身の主張を否定している。この論文の著者らは、この結果について何の説明もしておらず、その代わりにラジオイムノアッセイ法でタンパク質の相対濃度を分析した。その結論としては、「わずかなgp120SUが、HIV-1粒子よりもわずかに高い密度でバンドを形成するマイクロベシクルと関連している可能性があるとの証拠がある」である[36](強調は本論著者)。 このコメントは「HIV特異性」に関する別の問題を提起している。それは、彼ら自身の方法論でさえも、「HIVエンベロープ 」の一部であると主張するタンパク質が、想像上の「ウイルス」に「感染」していない細胞にも存在するという致命的な欠陥から目をそらすものであった[37]。

「SARS-CoV-2」に「HIVが挿入されている」という主張は、数十年にわたるウイルス学的疑似科学の伝播を象徴している。「HIV」の証拠がない[39]のと同様に、そもそもウイルスの証拠がない[38]のだから、Peng Zhouのチームはウイルスを工学的に作れなかったのである。COVID-19の「パンデミック」の起源をめぐる議論は、(1)「人獣共通感染症」(湿地市場/コウモリ穴など)か(2)「研究所漏洩」(事故か故意か)のいずれか二つに一つという誤り提示されてきた。全体的ストーリーは、『HIV』を選択肢(2)に放り込んでも混乱しない。

現状では、米国人の6割以上が、COVID-19の出来事は人工「ウイルス」の結果と考えている。これはどう見ても、政府やグローバリストのメディア許可済の主流テーマである。健康や科学の進歩などより、むしろ企業や社会政治的な目的のためにウイルスモデルの維持が行われている。健康や科学の進歩のように装ってはいるが、COVID時代に目撃したように、その側面は現在、国家の強制的な強制と暴力の独占による強制を必要としているらしい。「研究所漏洩」や「機能獲得」といったストーリーを広めている人々は、科学と人類の両方に不利益を与えないために、すべてが依存している基礎的な科学的証拠を検証するよう求められている。

「我々は新たな挑戦を受けているようだ。モデル(あるいは偶像)を崇拝する科学カルトによるロックダウンと乗っ取りをいかに避ければ良いのか?」[40]

Asa Boxer, 2024

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