何もしなくても信念だけで病気が治る研究

以前ちらっと聞いたことがあり、オリジナルがどこにあるのか知らずに講演会ではプラセボ効果の実例として紹介していたんですが、「Can You Catch A Cold?」を読んでいたら出てました。

論文自体は、A controlled trial of arthroscopic surgery for osteoarthritis of the knee

というものです。「Can You Catch A Cold?」の該当部分をちょろっと翻訳。

2002年に行われたより新しい実験では、180人の変形性膝関節症患者を対象に、本物の手術とプラセボ手術の効果を比較した。本物の処置では標準的な関節鏡手術をしたのに対し、偽物では膝の裏側の皮膚を小さく切開した(手術を受けたように見せかけたのだ)。偽手術にもかかわらず、プラセボ群では本物を受けた人と同じように痛みが軽減し、膝機能が改善した。重要な点として、両群とも治験終了の24ヵ月後まで、自身の治療内容について盲検化されていたことである。これが功を奏したようで、どちらの治療を受けたと思うか尋ねたところ、いずれのグループでも正しく推測した者はわずか13%だった[4]。つまり、人は正当な医療処置が行われたと思い込むだけで、気分が良くなるのである。
以下は論文の概要部

変形性膝関節症に対する関節鏡手術の比較試験
J Bruce Moseley1、Kimberly O’Malley、Nancy J Petersen、Terri J Menke、Baruch A Brody、David H Kuykendall、John C Hollingsworth、Carol M Ashton、Nelda P Wray
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PMID: 12110735 DOI: 10.1056/NEJMoa013259

要旨

背景:変形性膝関節症のために膝関節鏡検査を受けた後、多くの患者が症状の緩和を報告しているが、どのようにしてこのような結果が得られるのかは不明である。われわれは、変形性膝関節症に対する関節鏡手術の有効性を評価するため、無作為プラセボ対照試験を実施した。

方法:180名の変形性膝関節症患者を、関節鏡下脱脂術、関節鏡下洗浄術、プラセボ手術のいずれかを受ける群に無作為に割り付けた。プラセボ群の患者は皮膚切開を受け、関節鏡を挿入せずに壊死組織切除のシミュレーションを受けた。患者および転帰の評価者は治療群の割り付けについて盲検化された。結果は24ヵ月間の複数の時点で評価され、5つの自己報告スコア(3つは疼痛に関するスケール、2つは機能に関するスケール)と1つの歩行と階段昇降の客観的テストが用いられた。合計165人の患者が試験を完了した。

結果:いずれの介入群においても、プラセボ群より疼痛が少ない、あるいは機能が優れているという報告はなかった。例えば、膝特異的疼痛尺度(範囲、0~100、得点が高いほど疼痛が強いことを示す)の平均(±SD)得点は、プラセボ群、洗浄群、壊死組織切除群で同程度であった:それぞれ48.9+/-21.9、54.8+/-19.8、51.7+/-22.4。 4であり(プラセボと洗浄の比較ではP=0.14、プラセボとデブライドメントの比較ではP=0.51)、2年後ではそれぞれ51.6+/-23.7、53.7+/-23.7、51.4+/-23.2であった(それぞれP=0.64、P=0.96)。さらに、プラセボ群と介入群の差の95%信頼区間は、臨床的に意味のある差を除外している。

結論:変形性膝関節症患者を対象としたこの対照試験では、関節鏡下洗浄術または関節鏡下剥離術後の結果は、プラセボ治療後の結果よりも優れていなかった。

要するに、人間の思い込みは、治癒効果と同等の効果をもたらすということですね。もちろん、新薬治験における二重盲検法の存在自体が、思い込み効果を避けるためにあるわけです。

しかし、医者というのは極めて非科学的で、この効果を全く知らないので、安易に「あと三ヶ月です」などと言ってしまうわけです。

 

コメント

  1. Hi_Kan より:

    「病は気から」
    気から起こる病気があるなら、気で治る病気もある。
    病気の原因は多種だが、心因性のものが多い。

    人は思い込み、信念次第で如何様にも自身の氣が変化する。
    「元氣」になれば病も治るし、「邪氣」なれば病んでいく。
    アロパシーしか知らない現代の医者は病の原因を無視し、ひたすら患者に毒を盛り込んで殺していく。