またもトランプ支持者達がデタラメな情報を流してますね。トランプがシリア撤退した、やっぱり平和の使者だ、みたいな。。。
しかも、おそらくこの問題については、全然わかってないでしょうね。何も調べない、単なる大本営発表に過ぎないので。
私自身も良くわかってないんですが、キム・アイバーソンのビデオを見て、合点が行きましたよ。彼女の話は非常にわかりやすい。シリアンガールやジェイク・モーフォニオスも懸命に解説してくれてましたが、全体像を把握するのは難しいんですよ、とにかくややこしいので。
以下、私の理解した範囲でまとめていきます。おおよそ概要はこんなところではないでしょうかね。間違いあれば指摘してくださいね。
トルコ、PKK、米国の関係
トルコとクルド人は40年間戦ってきました。もちろん、トルコのクルド人の中のPKKという一部グループですが、双方で数万人も死者がでています。トルコでは、クルド人をテロリスト認定しており、もちろん米国もPKKをテロリスト認定しています。
トルコ・米国はNATO同盟者であり、米国の戦争にトルコも参加してきました。そしてトルコはNATO第二の軍隊を持っており、仏や英よりも強力なんですね。まさに、米にとっては、頼もしい相棒と言える位置です。
クルド人とは?
クルド人はもともと国を持たない民族です。シリアンガールの話によれば、第一次大戦前までは、純粋に遊牧民族だったとのこと。この民族がシリア、イラン、イラク等に散らばって住んでいたんですね。彼女によれば、その言語はイランの方言だとのこと。
そう言えば、その昔、「イラクのサダム・フセインが、イラク北方のクルド人を殺してる。フセインは悪い奴だ」なんて話がありましたが、これもジェイクの話によれば、CIAによって武装化されたクルド人がイラク国内で悪さをしていたからのようですよ。
要するに、CIAにとってクルド人は便利な存在のようです。国を持たない遊牧民族があちこちの国で独立国を作る、みたいなストーリーが都合いいわけですね。
シリアのYPGとは?
ともあれ、シリア内のYPGとはシリア内のクルド人部隊なんですが、その命令系統はトルコ内PKKと同一で、実際に戦士もいったりきたりしているとのこと。
シリア内にISISがはびこっている時、YPGはISISと戦っていました。その様子は、後述する「ラッカへの道」というドキュメンタリーで語られています。
ISISとは?
では、そもそもISISとは何でしょうか?
もともと、CIAはリビア内の傭兵を武装化し、これをNATOによる空爆等で援助し、カダフィを倒したわけですが、カダフィが片付くと、この連中をイラクやシリアに送りこみます。これがシリアのアルカイダと合流してできたのがISISです。
要するに、CIAはリビアのカダフィを片付けたのと同様に、シリアのアサドも片付けようと、シリアの「反政府派」なる勢力を増強したってわけです。
この時点では、米国はシリア侵略しておらず、ISISがアサドを倒してくれるのを待ってたらしいですね。
ところが。。。あまりにISISが残虐なことをやりだし、「反政府派」などと呼べるようなものではなくなってきたわけです。
ちなみに、ISISがシリア油田地帯を支配していたとき、石油を汲み出してトルコ経由で売ってました。ここには、トルコのエルドアンのたしか息子だか、親戚だかが関わっていて、これで連中も儲かったそうですね。
米国によるシリア侵略
仕方がないので米国(オバマ政権)は、自らシリア侵略をすることにしました。資料探し出せませんが、言い分はこんなとこでしょう。
- ISISは世界の脅威だ、退治しなければ。
- YPGに武器供与する。これは一時的なものだ。
もちろん、これは国際法違反の完全な侵略行為です。アサドは米国に「入ってくれ」などと頼んでないし、国連決議等もありません。
しかし、米軍が入っていっても、いつまで経ってもISISは退治されないわけです。例えば、米軍が「間違って」ISISにサプライを投下してしまったり、ISISがなぜかトヨタのランドクルーザーを持っており、それで行進するのがわかってるのに何もしなかったりと、どうも本当にISISを退治する気があるようには見えません。
ロシアの登場
ここにロシア、イラン、レバノンのヒズボラが出てきます。ISISに国土の多くをとられたアサドは、これら国外軍に援助を要請したんですね。
そして、ISISの多くを駆逐したのがロシアです。米国が何年も何もしなかったのに、ロシアが登場すると、さっさとISISを退治してしまいましたとさ。
で、これらのISIS戦士を捕獲し、北シリアの大きな範囲を支配したのがクルド人のYPGです。これらの土地には、もともともアラブ人の住む地域もあり、これらのアラブ人もクルド支配下にあるとのこと。
ロシアがISISの多くを駆逐した時に、その地をシリア軍に渡せなかったのか、このあたりは私は良くわかりません。単に空爆しただけなんですかね?
米国がトルコにした約束とその反故
で、米国(オバマ)がYPGを援助する際に、同盟国であるトルコに約束したことは以下だそうです。
- これは一時的、取引的、戦術的なものだ。
- 武装化させるが、後で武器は取り上げる
- 北シリアに移動させるが、トルコが嫌であればすぐに引き上げさせる
どれも守っていないと。
トルコとしては、PKK(=YPG)は40年間戦っている宿敵であり、米国もPKKをテロリスト認定してます。
そのテロリストを援助しているのが米国(=CIA)なわけですね。トルコが怒るのも当たり前です。
トランプの「撤退」決断とは結局何だったのか?
今起こってることを見れば明らかなんですが、米軍は撤退などしておらず、単に場所を移動しただけです。そして、トルコは米軍が場所移動したために、YPGを攻撃しやすくなったわけですね。
要するに、トランプの「撤退」なるものは、単に「トルコにクルド人を攻撃させるため、どいてやる」に過ぎないわけです。
しかし、その一方で、昨年12月にトランプが撤退を言い出した時にも、クルド人は米を脅迫していたそうです。「我々をトルコに攻撃させるなら、拘束してるISISを解放しちゃうぞ」と。昨日のニュースでは、実際にそれが行われたそうですね。
シリアンガール:クルド人戦士がISIS囚人を解放したわ、シリア軍に引き渡すのではなく。クルド人戦士は手段を選ばない邪悪よ。連中はシリアの地を盗む夢を諦める位なら、むしろシリアと世界に火をつけるのよ。 https://t.co/jH30nE2flx
— 字幕大王 (@jimakudaio) October 12, 2019
結局のところ、トランプの「撤退」とは、またも戦闘行為を煽るものであり、ISIS戦士を解き放つことであり、その一方で米軍の撤退など無いわけです。いかに欺瞞に満ちているかがわかります。
これを、大本営発表の方々は、「トランプが撤退したバンザイ!」などと言ってるのですからお笑いですね。
米軍は決して撤退しない
米軍(=CIA)は決して撤退しません。連中の目論見は、シリアをぶんどることであり、アサド体制を崩壊させることであり、それがだめであれば、シリアのバルカン化(バラバラにすること)だからです。
今回、米軍が「撤退」して、トルコにクルド人を攻撃させたということは、もはや、クルド人によるバルカン化は難しくなったということでしょう。そうすると、米軍(=CIA)のとる道は「ISISの復活と、それを口実とした米軍のさらなる増強」ってところですかね?
エルドアンの言ってること
トルコのエルドアンは何と言ってるかと言えば、彼の言うことはストレートですねぇ。。。欧州に対して「俺達のやってることを批判するなら、シリア難民350万人をお前らに送りつけてやるからな!」だそうです。
そうなんですね、欧州でリビア・シリア他からの難民が大変だとは言っていますが、実は最も多く難民を受け入れているのが、トルコなわけです。その数350万人なんだそうです。
エルドアンは、これをシリアに帰したいと。そのために、クルド人支配の北シリアをぶんどったら、そこに無料で庭付きの家を立て、そこにシリア難民を入れると言ってるそうですね。これはキム・アイバーソンが言ってることなんですが、一見「ホントかよ」と思いますよねぇ。。。
これ以上トルコを怒らせるとロシア側に行っちゃうよ
で、トランプの「撤退」なるものの決断の裏には、これがあると言う人もいますね。
米国は同盟国のトルコを怒らせ続けてきたわけです。最近では、トルコは米のボロいパトリオット・ミサイルなど目もくれずに、ロシアのS-400を購入していますし、そのために米は、トルコにはF-35を売らないと言い出したり脅していましたね。
で、「これ以上トルコを怒らせるとロシア側についちゃうぞ」という観測を多くの人がしています。トルコはNATO第二の軍隊である上に、戦略的に重要な場所にあるわけですよ。
ですから、トランプは「撤退」などではなく、トルコの不満を解消し、NATOに留めておくためにクルド人を殺させることにしたと見る見方もできますね。そもそも「撤退」などでは全然無いのですから。
完全撤退が米のとるべき道
で、米のとる道としては、完全撤退以外ありえないのですが、もちろんそんなことはできません。
イスラエル奴隷のトランプとしては、イスラエル大帝国のためにシリアをバラバラにし、その土地をイスラエルに提供せねばなりませんからね。
関連ビデオ
キム・アイバーソンによるこれが、最もわかりやすかったですね、なぜこんな状況になってしまっているのか。しかし、彼女はCIAの暗躍については、全く語りません。
これらすべてにおけるCIAの暗躍ぶりの良くわかってるジェイク・モーフォニオスによる解説です。
シリアンガールによれば、米議員の中でこの問題がわかっている唯一の存在はトゥルシー・ギャバードだけだそうです。
「トルコの狙いは、新たなオスマン・トルコ帝国だ」という見方もありますね。
YPG/YPJ(YPGの女性部隊)によるISISとの戦いを描いた、RT制作のドキュメンタリーです。
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