ミリセント・モーデン:狂犬病の過去と現在(前編)

病気の本当の原因:狂犬病で紹介されていた、ドクター・ミリセント・モーデンがScientific Reviewに掲載したエッセイ「Rabies Past/Present」です。

Rabies Past Present in Scientific Review


狂犬病は古い迷信である。悪魔が病気を運ぶ動物と人間の間を行き来した時代の異物である。

脳出血を起こしたことのあるパスツールは、この古い迷信を金儲けの病気に変えた。

狂犬病は今や、国際的に活動する生体実験トラストのペットチャイルド(?)である。

生体実験が何かを証明したというなら、それは実際の病気が犬から人間に感染することの不可能性を証明したのである。

汚い金はいつまで、馬鹿にされた大衆から事実を隠しておけるのだろうか?

古い図書館で見つかる記事の中に記録されていたように、随分前には、王のキスが狂犬病を治すことになっていた。後に、王の衣服の一部が同様に効果のあることが発見された。

さらに後になって、「狂気の石」が咬傷に適用されると「狂気を引き抜く」ことになっており、さらに後では「噛んだ犬の毛」を噛んで飲み込んだり、傷口に巻きつけたりするというのもあった。

さらに後の発見としては「野生のゴキブリ」の抽出物が採用された。

1806年のこと、ミスター・クラウスが1,000ドルの報奨金を獲得した、現在ニューヨークと呼ばれる都市の長からで、彼の発見により、ニューヨークから20年間狂犬病を排除したことによるものである。彼の処方としては、記録に残るものであり、その要素としては、ロバあるいは犬の下顎をすりつぶしたもの、子馬の舌、ジョージ一世の1セント貨についた緑色のカビであった。

この後者によって、パスツールの時代になるまで狂犬病から脚光を遠ざけていたようだ。医学は、パスツールによるジョセフ・マイスターの驚くべき治療法を知ることになった。(しかし)マイスターの少年の3人の親戚が同じ犬に噛まれたが、パスツールの治療の恩恵を受けずに完全に回復した事実は、ほとんど触れられていない。

同時代のH.バスティアン博士は、パスツールの科学的アイデアと結論について鋭い論争を起こした。 パスツールの別の同時代人であるアントワーヌ・ベシャン博士は、狂犬病に関するパスツールの報告に激しい異議を申し立てた。偶然にも、カイコ病の原因を、それ以前に発見したと主張したのがベシャン博士だった(訳注:パスツールの功績になっているらしい)。 彼(ベシャン)もまた発酵を発見した。 フランス科学アカデミーの記録は、ベシャンの主張を裏付けている。

イギリスのW・R・ハドウェン博士もパスツールと論争を繰り広げていた。ドクター・ウイリアム・A・ブルエットは、ワシントンの米国畜産局の元チーフであり、パスツールと同時代であり、パスツールの発見の間違いについて多くの証拠を示した。実際にドクター・ブルエットが証明したものとしては、狂犬病ワクチンが詐欺であるばかりではなく、害をなすことだ。彼は狂犬病ワクチンを冷笑し、「予防接種が病気を蔓延させる」と宣言した。さらに彼は、狂犬病ワクチンの売上を徹底した詐欺と呼んだ。

パスツールの別の同時代人であり、その後フィラデルフィアメディカルの主要メンバーとなったマシュー・ウッズ博士は、 狂犬病ついて多くを書いている。 彼は言う、「フィラデルフィアの犬ポンドでは、年間6,000頭の野犬が捕獲され、捕獲者や管理者が度々噛まれることがある。が、ただの一件も狂犬病は起こっていない、その歴史の25年間において一度もだ。その間、15万頭の犬を扱ったのである」。

「数年前のロンドンの記録が、怒りの犬に噛まれた2668人を示している。その誰もが恐水病症状を発症しなかった」

ロンドンのセントジョージ病院は、狂っていたとされる犬に噛まれた患者4000人を記録しているが、恐水症の症状はなかった。

「ペンシルベニア病院で発生した140年間の病気の記録においては、恐水症と考えられたものは二つのケースのみだった。しかし、その一つは細菌学的検査を受けた唯一のケースであるが、診断を追認しなかったため、地元保健局は狂犬病による死亡診断を拒否した」

狂犬病を調査するために州の医学会によって任命されたペンシルベニア大学の医学史講師であるチャールズW.ダレス博士は、「そのような特定の病気はないという見方に傾いている」と述べた。なぜなら、16年間の調査の後に彼は言うのだ、「犬の咬傷またはその他が原因と決定的に証明できる単一の症例を記録上で見つけることができなかった」。 このレポートとウッズ博士の手紙は承認されたのである、ジェファーソン医科大学のテオフィルスパービン博士、 コロナース医師、トーマスG.モーテン博士。 ペンシルベニア大学のチャールズK.ミルズ博士とポリクリニック病院のトーマスI.メイズ博士に。

ウッズ博士は最近、狂犬病についての模倣疾患の談話を書いた。 彼の証拠は、いわゆる人間の狂犬病は無秩序な想像力(恐怖)の結果であるという見解を裏付けている。 動物では、いわゆる狂犬病は根本的に虐待や栄養失調、あるいはその両方が原因である。

ニューヨークのウィルコックス博士は、狂犬病の犬の咬傷による11名の死亡の疑いからの「狂犬病の恐怖」を調査した。 完全な調査の結果、これらの死亡者の1人が狂犬病によるものではないことが判明した。 市議会への彼の報告の発表で「狂犬病の恐怖」はすぐに終わってしまった。

エルマーリー博士は、スタテン島での別の狂犬病恐怖症を終わらせた。剖検で狂犬病の犬は狂犬病ではなく糸状虫で死亡したことが判明した。 この虫が動物の心臓に宿っていたのである。

同様の虫の発見により、クロンダイクの狂犬病パニックは終了したのである。

スティルマン博士は1922年に声明した、狂犬病は「純粋なペテン」だと。非常に忙しい診療と欧州中の幅広い旅行を経験した開業医としての40年以上の間「恐水病や狂犬病を見たことがない」。

スティルマン博士は、情報提供の要求に応える手紙で、次のように述べた。 「数年前、ニューヨーク州アルバニーの州農業局による狂犬病検疫の宣言によって大きな騒ぎが起こり、二年間続いた。多くの犬が殺され、その頭がコーネル大学獣医科での公式検査のために送られた。 多くは狂犬病と宣告されたが、しかしその検査というのは動物の脳内の特定のネグリ小体の存在に依拠していた」。

(訳注:ネグリ小体とは

「私はフランスのパスツールの生徒から、狂犬病の疑いの無いときにもネグリ小体が時々存在することを知らされた。病気の症状のない無害な小さな犬の頭をコーネルに送ったが、すぐさま狂犬病とされた。 最終的に私は、担当する農務省に行き、すべての犬を狂犬病と宣言し、狂犬病の症例が発生するかを確認せよと主張した。 ただ一件の狂犬病も発生せず、それ以来一度も無かったのだ。動物が狂犬病かを調べるために拘束されても、一匹も死なかなかったのだ。二年間にわたる狂信的な不安と騒動は沈静化した、狂気恐怖あるいは架空の恐水病を発生するはずだったものだ」

J. W.ホッジ博士は、1年間に収集された56,000匹の野良犬と猫のうち、狂犬病は1例も発見されなかったと報告した。 彼はさらに、イギリスには狂犬病はなく、パスツールの治療法の使用も許可されていないと述べている。 ホッジ博士は、パスツールの予防的治療を受けた直後に「恐水症」で死亡したと報告された2500人以上の名前と住所を保管している。 パスツール治療のこれらの「犠牲者」の300人近くが犬に噛まれたことの記憶がないと考えると、治療法が病気よりも致命的であることを証明しているようだ。 ホッジ博士は予測している、「将来の世代は、魔術妄想の歴史を読むときに経験するものと同じような気持ちで、恐水症とパスツールの治療についての今日の妄想を見るだろう」と。

先に言及したダレス博士は言う、「狂犬病と思われる犬に噛まれた人の治療における私自身の経験を引用すると、30年の間にただの一つも病気のケースはなかった。そして私はおそらく恐水病の症例を他のどの医療関係者よりも多く見たと思う」。ダレス博士は、ペンシルベニア大学で医学の歴史について講師を務め、ラッシュ病院に外科医をコンサルティングし、大学病院のマネージャーを務めた。

全国的なコラムニストであるウィリアム・ブレイディ博士は言う、「狂犬病に対するパスツールの治療は盲目的治療であり、パスツールの治療が狂犬病に対する保護を与えるかどうかは誰にもわからない。私はパスツールの治療を喜んで受けたり、与えることは決して無い、想像可能ないかなる状況下であってもだ。そのように注射された物質が、場合によっては悲惨な影響を与えるのを恐れるからだ。常に成功するとは限らず、麻痺を生ずることもある」。 狂犬病は「人間では発生しない」というのがブレイディ博士の意見だ。

「私たち医療専門家は、善意があり見当違いの個人や方法によって犯される多くの間違いをを見てきた。犬の心臓によるジギタリスの標準化がリバイバルされ、標準からの300%の差異をもたらすだろう(?)」。

ミリセント・モーデン:狂犬病の過去と現在(後編)

 

コメント