YouTubeの独立メディアチャンネルをみていると、どこでもやってる宣伝がVirtualSieldです。ビル・スティルやリサ・ヘイヴン、それとHighImpactFlixも宣伝してたと思います。
これはVPNの一種であり、あなたの所在をわからなくし、行動もトラッキングできないようにするものなんだとか。NSAに筒抜けの米国と異なり、日本はこの点でも遅れてるので、必要無いかなと思うんですが。しかし、ちょっと調べてみると否定的な意見を言う人もいますがね、何やら「その正体が良くわからない云々」など。。。本当のところは今のところわかりませんけどね。
ともあれ、言われているような宣伝にも疑問があったんです。というのも。
- SSLプロトコル(https)を使ってれば、経路途中で盗聴されることは無い。特に最近は、以前に比較して強力な暗号化になってるので通常は無理と思われる。量子コンピュータか何かであれば、解かれてしまうだろうけど。
- 何を行おうが、Twitter、Google、Facebook(最近完全に止めましたが)等にはログインしなければならないので、結局連中にはトラッキングされてしまう。
アカウント登録
で、VirtualShieldなんですが、私が日本人ユーザ第一号であることが判明しました。というのも登録時にZIPコード入力欄があるんですが、日本の郵便番号を入力すると拒否されてしまったからです。
サポートに連絡したら、わずか二日程度で登録フォームを修正してくれたようで、無事登録することができました。https://virtualshield.com/のGET STARTEDから、個人向けの料金プランを選択し、メアドとパスワード、クレジットカード番号、国名、郵便番号を入力して終了です。課金される前に30日間の無料期間があります。今回選択したのは、一ヶ月単位の課金で10.99$ですね。長期であれば、より安くなります。
アプリのインストールと接続
次に、https://virtualshield.com/downloadでアプリをダウンロード、ほとんどの場合、Firefoxなので、Firefox拡張をクリックすればそのままインストールできます。この他にOpera用のものがありましたが、使う人っているんですかね?
インストールすると次のようなボタンが出現するので、ここからサインインします。
あとは、切断状態なので、CONNECTをクリックすれば、VirtualShield経由のアクセスになるようです。なんでこんな切り替えボタンが必要なのかと思ったのですが、いろいろ不都合があることが後でわかりました。
ともあれ、サインアップからFirefoxで使えるようになるまでの手順は非常に簡単です。最低限必要なことだけ入力して、後はクリックすればスグに使えますね。
※あとで良く読んでみたら、Windows用のアプリを入れれば、Firefox拡張は不要のようです。
VirtualShield経由であることを確認
CONNECT状態で、IP確認をしてみます。https://www.cman.jp/network/support/go_access.cgiを表示させてみると、以下のような表示になるんですが、
このIPアドレスを、http://mgt.jp/t/country#などでチェックしてみると、たしかに米国になってますね。まぁ、要するに単なるプロキシですね。
プロキシの機能
通常、皆様がネットに接続する場合、プロバイダと契約すると、たいていは一個のグローバルIPアドレスが割り当てられるわけです(WiMAX等は違いますが)。これは日本国内のIPとなっており、
お宅に割り当てられた日本国内のIPアドレス—->任意のウェブサイト
という接続になり、ウェブサイト側では「これは日本からの、☓☓プロバイダからの接続だ」とわかるわけです。これにプロキシを介在させると、
お宅のIPアドレス—->米国プロキシのIPアドレス—->任意のウェブサイト
となり、ウェブサイト側では、「米国からの接続だ」と認識するわけです。ただ、先程も言ったように、そのウェブサイトにログインすれば、「あなたであること」はわかってしまいます。どこからの接続だろうが。「たぶんこの人は米国旅行中なんだろう」てな感じですね。
この機能は、ただのプロキシなので、もっと安いところはあるかもしれません。無料のプロキシもたくさんあります。が、遅くて日常的には使えませんが。
もちろん、一つプロキシを介すので、若干遅くなることには間違いありませんね。体感的には何も感じませんが。つまり、日本–>国内ウェブに直接接続する場合と、日本–>米国–>日本と接続する場合の違いです。
ただ、YouTubeやGoogleはもちろん、GoogleやAmazonのインフラを使ってるウェブは日本の会社のものであっても、サーバは米国にあるはずなので、日本–>米国–>米国という接続になり、それほど違いがあると思えませんが。
では何を守ってくれるのだろうか?
ここまでは、ただのプロキシと変わりはありませんね。じゃ、何を守ってくれるというのでしょうか?売り文句の一つが以下です。
これはどういうことかと言えば、あなたの契約している国内プロバイダは、あなたがどこを見てるか全部知ってるわけです。記録してます。いかがわしい物を見てれば、それもしっかり記録してます。
しかし、プロキシを介してしまうと、このプロバイダに残される記録は、「こいつVirtualShieldばっかり見てるじゃん。他は見てないようだ」ということになってしまうわけです。
まぁ、そもそも、(警察対応以外に)そういう記録を後で使ってやろうなどという悪意を持ったプロバイダと契約する人はいないわけですし、その上、今度はVirtualShieldにその記録が握られるわけですから、VirtualShieldの方が信頼できるのかよ、という話になるわけで。どうなんでしょうね、これ。。。一応VirtualShieldでは「ログとりません」と言ってますけど。
これも単にプロキシの役割に過ぎませんね。
検閲を回避
もうひとつの売り文句がこれです。
これはですね、もし日本国内のプロバイダ側で何らかの検閲が行われていたとしても、それを回避できるって話ですね。
例えば、最近は政府レベルで、著作権侵害のマンガサイトへの接続を止める云々なんて話が出てますが、これがもし日本国内のプロバイダレベルで行われたとしても、米国内からのアクセスなので無関係ってことです。
これもただのプロキシの機能ですね。
Windows自体を保護する
以上はFirefox拡張を入れて、ブラウザのみを守った場合の話なんですが、Windowsアプリを入れれば、Windowsまるごと保護して、Firefox拡張は不要になるそうです。これをやってみましょう。
Firefox拡張を削除し、先のダウンロードページからWindowsアプリをダウンロードし、起動します。起動時の設定は特にないですね。
起動すると、こんな画面になります。
オプションとか要らないので、青のボタンで折りたたみ、
CONNECTをクリックして、VirtualShieldに接続し、拡張を削除したFirefoxで同じことをして確認します。たしかにIPが変更されてます。
この画面を閉じるとタスクバーに格納されますね、こんな感じで。クリックすれば、また開きます。
Windows自体の保護ということは、つまり、ブラウザだけではなく、メーラーもDropboxも何もかんも、VirtualShieldを介在させることになりますね。おそらくVirtualShieldへの接続は暗号化されているのでしょうから、これは完全な推測ですが、もし以前はこうであれば、
お宅のIPアドレス–(暗号化されてない接続)–>任意のサービス
こうなるのでしょうね。
お宅のIPアドレス–(暗号化接続)–>米国プロキシ–(暗号化されてない接続)–>任意のサービス
しかし、今どき暗号化されてないサービスというのを思いつかないのですが。。。
しかし、プロバイダでの「ウイルス検出サービス」なんてのを使っている場合は、それもバイパスされちゃうんですかね。使ってないんでわかりませんが。
その他のサービス
Windows用アプリにはその他のサービスがあるんですが、このプランでは使えないようです。何をするものかわかってませんが。。。
総評
独立メディアの宣伝では、「VPNだ。安全性だ」とうたっておりますが、基本的にはただのプロキシです。最低プランではプロキシ以外の何物でもありません。
そして、アクセス先のウェブにログインするのであれば、自分の行動をトラッキングされるのを防ぐことはできません。これは何を使おうが無理です。そもそもトラッキングされることとサービスを受けることが表裏一体なんですから。
プロキシという意味では、探せばもっと安いものもあるかもしれませんが、最も重要なポイントとしては、その会社が本当に信用できるかどうかですね。もし、マイク・アダムスがこのサービスを始めたら完全に信用しますけど。技術云々ではなく、ここが最大の問題です。
P.S.切断も必要
忘れてたんですが、VirtualShieldでわざわざCONNECT/DISCONNECTの切り替えが必要な理由というのは、例えば、「日本国内からのアクセスでないとだめ」というサービスもあるからです。
まさに、このブログがそうでした。CONNECT状態で何かしら書き込もうとすると、エラーになってしまいます。そんな設定をしたことを覚えてないんですが。。。。
P.S.2 TAP Windows Adapter V9の追加
普通の人には必要ないんですが、既にOpenVPNなどを使ってる場合、VirtualShieldをCONNECT状態のままでOpenVPNを使うことができませんでした。
これはTAP Windows Adapter V9というものが不足してしまうからです。
両方同時に使うためには、追加しないといけません。
のaddtap.batを「管理者として実行」します。
アダプタをもう一つインストールするわけです。
コメント