飛行機は降下などしないの続きです。
この人の話を精査しているのですが、聞くごとに、「やっぱりこいつは詐欺師だよ」と思うようになりました、大変残念ながらです。
Eric Dubayのインチキ話術
動画の2:50のあたり。インタビュアーが言います、時速140キロで走る車の中では、あたかも止まっているかのようにキャッチボールできたりする。大気圏はこれと同じ状況じゃないかと。
※ちなみに「アリが歩くとしよう」という字幕は不十分で、「ダッシュボードの上をアリが歩くとしよう」が正しい訳です。
これに対し、Eric Dubayの言い分としては、何かしら振動や音は感じるだろうと。動いているのはわかるだろうと。それだけです。なぜ普通にキャッチボールできるのか、その理由は言いません。
インタビューアから振られた車の話、特にキャッチボールの話を無視してしまっているのが、後々効いてきます。
突然エレベータの話をしだし、上下降は感じるだろうと言うんですが、これも無理筋です。最近のエレベータは、加速・減速共にスムースで動きを感じ辛く、さらに、加減速していない定速走行状態のエレベータが動いているのがわかるのは、耳がツーンとするか、ガラス張りのものだけですね。これは普通に常識としてわかると思います。
Eric Dubayは常識を大事にしてるんですから。
そして、「地球の動きにズレが生じるなら、直ぐに気付く」としていますが、これは当然ながら地震のことではなく、自転スピードが加減速することでしょう。おそらくこんなことは球体派の誰も言ってないと思います。これも無理筋です。
ヘリコプターはホバリングだけで目的地に着ける?
4:50のあたりです。「もし地球が自転してるなら、ヘリコプターはホバリングするだけで目的地に着けるだろ」というのが、平面派の主張。球体派の主張は、「大気圏は地球と共に自転してるから無理」というものです。
大気圏は「走る車の中のようなものだ」が球体派の主張と考えていいでしょう。
しかし、Eric Dubayはそれが間違いだと証明できるんだそうです。どんな証明でしょうか?
Eric Dubayの証明なるもの
この理屈がとても把握しづらいのです。Dubayの主張とは裏腹に、以下のアニメーションは球体派の理屈を示しており、西向き、東向きの飛行機が、同じ距離にある目的地に同時間で到着しています。
彼の言うような「到着する前に背後から目的地が現れる」という状況は、アニメでは示されていないように思います。
ともあれ、アニメには「球体派の主張は間違い」の何の証明も無いようです。
では、彼の言いたかったことは何か?おそらくこうでしょう。
もし地球が自転しているのであれば、飛行機のスピードは、地球と大気のスピードの半分でしかなく、目的地に到着するどころか、目的地が後ろから現れるだろう。だから地球が自転しているわけが無いという理屈です。
どう思います?ここで問題になるのは、こうです。
- 大気も地面も共に、1600km/時の猛スピードで動いている場合、その中にいて、そのスピードの影響があるか?
これはインタビューアがその前にふっていた話に答えがあります。高速走行している車の中で普通にキャッチボールができると。車の中では、スピードの影響など無いことを、少なくともインタビューアは認めています。ところが、Dubayはこの理由を説明しません。エレベータの話に切り替えています。
明らかに不都合だからですよ。
大気圏は「車内」だろうか?
密閉されて走行する車の中では、あたかも静止したかのような状況と同じ振る舞いができることは明らかです。助手席と後部座席でキャッチボールをした場合、助手席からのボールスピードの方が速くなるなんてことはありません。あ、逆か、後部座席からか。。。
この状況について、Dubayからは何の説明もありません。わずかに「振動や音は感じるだろ」程度です。普通にキャッチボールが可能な事実に変わりは無く、これは否定しようもありません。
では、問題となるのは、「大気圏はこれと同じ状況なのか、あるいは異なるのか」に間違いないでしょう。
もし同じ状況であれば、Dubayの言い分「(球体派の主張するように地球が自転するならば)東向きの飛行機は目的地にたどり着けず、後方から目的地が現れる」は、全く成立しません。明らかな誤りです。
異なるというのであれば、どう異なるのでしょう?車内についても何の説明も無いので、これについての説明も得られません。
そもそも飛行機の速度とは?
さて、さっきの図をもう一度見てみましょう。
さらっと書きましたが、上の図のそれぞれの速度はどうやって得たものでしょうか?
例えば、時速80kmで走る電車の中で歩いた場合、それは時速4kmでしょうか?84kmでしょうか?あるいは逆方向に歩いて76kmでしょうか?
そうです。速度というものは、どこを基準点として計るかによってまるで違ってしまうわけです。
地球の自転速度は明らかに、何かしらの「全宇宙座標系」みたいなものを基準にしていますね。
では、飛行機の速度はどこを基準にしているのでしょう?
明らかに地表面ですよ。地表面が回転しているのであれば、その回転する座標系の上での速度です。
したがって、この毎時800kmという速度は、あたかも「地球が静止しているかのような」状態を想定しているわけです。
※電車内歩行を4kmとするなら、それは電車が静止している、つまり、電車自体の速度は一切加味しないということです。これと同じことです。
「全宇宙座標系」を基準にすると、飛行機の速度は、毎時2400kmになります(東向きの場合ね)。
つまりですね、Dubayはうっかり飛行機の速度を毎時800kmと言ってしまっていますが、これは、球体派の言う「自転により移動する地表面」を基準にしているのです。
ですから、論理的に言っても、「自転速度が1600km、飛行機速度が800kmだから目的地には到達できない」などとは言えないのです。移動する地表面の上で、これだけの速度ということなので、西向きだろうが東向きだろうが、地表面に対して800kmであり、目的地が800km遠方であれば、それが西であれ東であれ一時間で到着します。そもそも、それがこの毎時800kmという速度の定義なのです。
この人の論理は、あまりにずさんと言わざるをえません。
さて、電車の中の徒歩スピードですが、「全宇宙座標系」を基準にすれば、電車が東方向に向かう場合には、毎時1684kmあるいは、1676kmになりますね。
追加:絶対静止座標系ではどうなるか?
では、何かしら「絶対静止座標系」というものを考えてみます。
この座標系の中で地球は東向き(左回転)に時速1600kmで回転しており、飛行機は、東向きに800km、あるいは西向きに800kmの速度だとします。くどいようですが、これらの速度は、この絶対静止座標系での速度ですよ。
Dubayの言い分が成立するためにはこれしかありません。こうであれば、東向きの飛行機は目的地に到達できず、目的地が背後から来ることになります。
その一方で、これはありえません。東向きに回転している球体から東向きに飛行機が飛び立つとすると、1600kmのスピードで動いている物からさらに800kmのスピードで飛び立つことになります。したがって、少なくとも飛び立った直後は2400kmにならざるをえません。絶対静止座標系での800kmにはならないのです。
飛行機が東向きに飛び立って、それが絶対静止座標系での速度が800kmであるためには、バックで時速800kmのスピードにしなければなりません。もちろんありえません。
このことから見ても、Dubayの言い分は全く成立しません。
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