天然痘:一般神話を一掃する

ドーン・レスターによる記事です。

Smallpox: Dispelling A Popular Myth - What Really Makes You Ill
There is a popular ‘myth’ that smallpox was responsible for the devastating loss of life suffered by the indigenous peoples of America, because it was ‘carried’...

一般的な「神話」がある、天然痘によってアメリカ先住民の命が脅かされ、壊滅的な死亡につながったが、それは欧州人が天然痘を「運んだ」ためというものだ。この話のバリエーションとしては、新たな病気が新世界にもたらされたというのがある。最初はスペイン人が、次にポルトガル、最後に英国だ。これらの病気としては、はしか、インフル、腺ペスト、ジフテリア、チフス、コレラ、水痘、黄熱病、百日咳がある。しかし、天然痘が最大の人命損失要因であったと一般には主張されている。

この神話には、相互に関連する多数の主張がある。その一つとしては、これらの病気はどれも、以前には新世界に存在していなかったということだ。もうひとつは、これらの病気が「新しい」ため、先住民に免疫がなく、欧州人が運ぶ細菌の「感染」に抵抗力がなかったということだ。神話によれば、不可避な結論としては、何百万人が「感染」し、その結果、細菌の病気に屈して、死亡したというものだ。

しかし、真実からはほど遠い。

この神話が誤りである主な理由としては、それが致命的欠陥のある「細菌理論」に基づいているためだが、その主張としては「感染性」疾患について医療機関が行った多くの主張に直接矛盾していることも示しうる。

このような矛盾の一つとしては、新世界に「運ばれた」と主張されている病気のほとんどが、本質的に致命的と見られていることだ。数百万の死を引き起こしたとされている。では、これらの病気が先住民にとって非常に致命的なら、そこからどうやって生き残ったのだろうか。明らかに生存者がいたのだ。

伝染性が強いため、新世界に着いた船の乗組員が病気を簡単に広げたと言われる。また、これらの船員は、大西洋の長い航海中に「運んでいる」細菌の影響を受けなかったとも主張される。一部の人々は「無症状性キャリア」であると主張されているが、新世界に航行した全船舶の全乗員が病気に屈することなく「細菌」を運んだだけである可能性は、ほぼ無い。

乗員がこれらの病気に屈することが無かった説明として提示される一般的なものとしては、乗員が免疫力を発達させたというものだ。しかし、この説明には問題がある。医療機関によれば、健康で適切な免疫系は、病原体を破壊する抗体を含む免疫系である。したがって、適切な抗体によって欧州の船員がこれらすべての病気に対し「免疫」であるなら、彼らの身体には「細菌」は含まれない。一方、もし欧州の船員が「細菌」を運んだなら、「免疫」はありえないのである。

何百万人の人が亡くなったことの否定がこの議論の目的ではないが、欧州人から伝わった「細菌」に対する「免疫」が無かったために、彼らが「感染症」、特に天然痘で亡くなったという主張は否定する。つまり、反駁としては、彼らが他の原因で死亡したに違い無いということだ。

幸運なことに、歴史的研究により、1492年以降の新世界での壊滅的な生命喪失に寄与したと考えられる多くの原因因子の存在の証拠が明らかになった。研究の一つのソースとしては、ドクター・デビッド・スタナード博士であり、彼は新世界発見の歴史について調査を進めると共に現代の著作を研究した。この研究は、著書「American Holocaust: The Conquest of the New World」に記載されており、多くの関連要因を明らかにしている。特に、ほとんどのスペイン人が新世界への最初の航海前の期間の生活状況に少なからず関連する。彼はこう説明する。

15世紀の都市では、停滞した水で満たされた道路脇の溝がトイレとして機能しており、これは何世紀にもわたりそうであった。

これらの条件は、同じ時期に多くの欧州圏で蔓延していた条件と驚くほど似ている。大多数の人が衛生設備や下水道無しで生活していた。彼らは、自身の廃棄物と下水と共に暮らしていたのだ。町や都市に住む人々は、あるとしても、きれいな水へのアクセスが制限されていた。つまり、彼らは汚染された水を飲み、めったに身体を洗うことは無かったのだ。また、これらの国の人口の大多数は貧しく、ほぼ食べることができなかった。スタナード博士は本の中でJ.H.エリオットの言葉を引用している。

金持ちがその巨大な食事を消費しているあいだ、千人の空腹の目で見られ、過剰に食べた。残りの人口は飢えた。

飢餓につながるような不十分な食物はたしかに健康を損なう要因だが、過剰もまた害を及ぼす可能性がある。つまり、金持ちもまた病気とは無縁ではなかっただろう。問題としては、少なすぎても多すぎても、単に食べ物の量だけではない。健康にとってはるかに重要なのは、消費される食品の品質である。

これに比較すると、新世界の先住民の生活条件としては、著しく異なっていた。スタナード博士は言う。

その後、欧州都市は、何世紀にもわたり悪臭を放ち、汚染された川から飲料水をとった。テノチティトラン(現在のメキシコシティ)の飲料水は、本土の奥深くにある湧き水から来て、巨大な水道システムによって都市に送られた。これは、コルテスと仲間によるものである。ちょうど、その個人的な清潔さと衛生、石鹸、消臭剤、呼吸甘味料の贅沢な使用にも(スペイン人が)驚いたのと同様である。

欧州における疾病、特に天然痘の罹患率と死亡率の大幅な削減への最も重要な貢献の一つは、衛生改革の実施だった。したがって、そのような清潔で衛生的状態が生活していた人々が、より病気に罹患しやすいと主張することは完全に不適切だ。実際には、そのような清潔で衛生的状況で生活していた人々は、どの入植者よりはるかに健康だった。後者すべてが、汚物や下水の中で、ほとんどの人々が汚い状況で生活し、入浴したとしてもまれな国に住んでいた。

イタリア人クリストファー・コロンバスが率いる最初の航海の当初の目的は、アジアへの西側のルートを見つけることであったと言われる。しかし、新たな土地への航海の主な目的は、金や銀などの貴重資源を探し入手することだった。征服者が先住民族の身につける金色の宝石を観察したときに、彼らはその土地が宝物豊かであると思い込み、これによりスタナード博士が述べたように、恐ろしい行動をもたらした。

軍隊は野生になり、先住民を盗み、殺し、強姦し、拷問し、想像した金の宝庫の所在を明かすよう彼らに強要した。

こういった方法で、スペイン人は望みの金と宝飾品を「獲得」したが、人々から直接収集できなくなると、他の方法を利用し始めた。その一つとしては、地表から貴金属を抽出するために、労働力として地元住民を使用して鉱山を設立することだった。スタナード博士が説明するように、先住民は仕事の強制に加え、鉱山内の恐ろしい状況に耐えた。

そこには落石の危険、不十分な換気、残忍な監督者の暴力に加え、インディアン(先住民のこと)労働者が岩表面を削ると、彼らは、辰砂、ヒ素、無水ヒ素、水銀の有毒な蒸気を吸入した。

スタナード博士が言うように、その障害に侮辱を加えた。スペイン人は純粋に商業的見地からインディアンの命を見ていたのである。

強引な労働の無限供給がある限り、インディアンを死ぬまで働かせてから、別の先住民と交換することは、適切に養い世話することよりも安かった。

彼らが強制された仕事の種類は採掘だけではなかった。プランテーションも設立され、地元住民は再度総労働力を構成した。恐ろしい状況と彼らの被った暴力のため、彼らの命はかなりの短さになった。スタナード博士はさらに言う。

実際には、ペルーにおいて、スペインの恐ろしい初期の頃に、鉱山やプランテーションで強制労働従事したインディアンの平均余命は3~4ヶ月に過ぎなかったと思われる。

天然痘:一般神話を一掃する、その2

 

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