藤井厳喜の「太平洋戦争の大嘘」について

2018年4月21日

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ちょうどジェームズ・パーロフのインタビューを訳していた頃、ダイレクト出版がこの本を派手に宣伝していたこともあり、「どんなことが書いてあるんかいな」と興味津々だったんですが、やっと手に入れました。そして、がっかりしました。日本の研究者と米国の本物の研究者の力の差というものを嫌というほど思い知らされました。

ジェームズ・パーロフのインタビューは以下です。これについては、以前にパール・ハーバーはルーズベルトの9/11だと、それ以前にウヨクの言ってたことは本当だったに書きました。

売上を伸ばすための本

昨今は何もかんもそうなんですが、「僕ちゃん達の国が世界一」などというマスターベーションに資するための新聞・雑誌・書籍が多すぎる位あまたあるわけですが、これもその一つに過ぎません。しかし、この類の本というのは、これまでさんざん販売されており、デジャブかと思う位です。二匹目三匹目のドジョウを狙ったにすぎません。しかも、内容は粗悪極まり無いものです。この程度でも、大量広告投下しさえすれば、いわゆるマーケティングしさえすれば売れる。。。と言いますか、「売る」という確信を持てることにまずは驚きます。

そして、**が反日だの、中国のことをチャイナと呼んでみたり、慰安婦がどうしただの、媚びへつらいの要件を満たしてるんですが、これらはタイトルとは関係無いんですよ。その手の愛好家にアピールする基本は押さえました、散りばめてみましたという感じですね。

リファレンス無し

学者という方が書いた割にはリファレンスというものが全くありません。著者は一体どこからこの情報をとってきたのでしょう?わかりませんから検証のしようもありません。もちろん検証する力はありませんけど、検証可能ということが前提になるでしょう。これでは、誰が書いたかわからないWikipediaの方がまだマシというものです。検証不可能なことを書けば、すぐにツッコミが入りますから。ですから、全編を通して「ただのお話」です。何の裏付けも無いということです。

「膨大な資料で書ききれない」という言い訳が聞こえてきそうですが、有り得ないです。ウェブサイトを作り、そのURLを書けばいい話です。それさえしない、思いつかないんですから、これはいかに著者が読者を馬鹿にしているかの証左と言えます。「どうせお前らには検証できないだろう」と。

この姿勢一つだけでも見てみれば、はなから著者が歴史的事実など書く気など無いことが明らかに見て取れます。いわば、扇動のための、売らんがための、ただの「お話」にすぎないんですね。

事実もあるが弱い

そうは言っても、事実らしきものもあります。もちろん私自身が直接的に元の資料にあたったわけではないので、ジェームズ・パーロフの言うことが事実と仮定すればの話しですが。

なんといいますか、全編を通して「**国は**に進出したかった」だの、日本と米国が激突するのは不可避の運命だった云々などとあるんですが、ほとんどその動機というものがありません。まるで進出というのが、何かしら植物が成長に連れて根を拡大させていくかのようです。

違いますね。問題としては、なぜわざわざ進出したり、戦争を起こしたり「したい」かというとこです。その視点がすっぽり抜けているので、ある点において事実を書いていても、その動機がわからないので非常に弱いんです。再度、「ただのお話」です。その一方で、このあたりジェームズ・パーロフの論理は明快です。納得できるものになっています。

一方で平和主義者の装いのルーズベルトが、実は戦争を起こすための画策を行ったというのは、事実のようですが、彼とその周辺の実際の行動についてはジェームズ・パーロフの言の方が圧倒的に詳細です。この著者の書いていないこととしては。。。

  • 360度全域から攻撃されるという海軍側の反対にもかかわらず、わざわざ太平洋艦隊にハワイへの停泊を命じた。しかもすし詰め状態だった。
  • この反対した司令官をクビにして、別の者を司令官に据えた。そのため、新たな司令官は「職務怠慢で攻撃された」と生涯にわたり米国民から非難されることになった。
  • 日本の暗号はすべてワシントンに解読されていたが、ハワイ側には一切伝えなかった。
  • オランダや日本のスパイから「日本軍が攻撃を計画している」という忠告を何度も受け取っていたが、それを無視。
  • 戦中・戦後に行われたパール・ハーバー調査委員会に手を回し、証言者を自分に都合の良いように黙らせた。

などなどです。更にジェームズ・パーロフは一時間という短いインタビューの中でリファレンスを何冊も紹介していますし、自身のウェブサイトにさらに多くの情報を公開しています。

ジェームズ・パーロフにはあるが藤井厳喜には無いもの

そして、ジェームズ・パーロフの言にはあるが、藤井厳喜には決して言わない・言えないであろうことは、パール・ハーバーという事件が、連綿と続く米国戦争体制の謀略の一コマでしか無いことです。米西戦争しかり、第一次大戦しかり、ベトナム戦争しかり、湾岸戦争しかり、9/11とアフガン・イラク戦争しかり、シリア侵略しかり、すべてが同じものです。現在でも継続しているものであることです。

藤井厳喜にはその視点が全くありません。これは想像ですが、そういう見方をされてしまうと、おそらくは都合が悪いんでしょうね。

あくまでもこれは単なる想像ですよ。藤井厳喜がそうと主張するわけではありません。が、その方面の多くの方々がやってることというのは、「あの戦争は悪い戦争ではなかった」ーー>「日本が再武装するのは悪く無いんだ」ーー>結局アメリカの戦争下請けをさせられる、という路線ですからね。

米国という国が現代世界最悪の邪悪な国であり、これはもはや建国時点から継続しているものという視点の無い方は本物ではないです。単に都合の良いところをつまみ食いしているにすぎません。そのつまみ食いの目的は何でしょう?何のためにこの本を書いたのでしょう?

この話しには続きがあります。藤井厳喜の「太平洋戦争の大嘘」について2です。