クリストファー・ウォーカー、お前一体誰?

今日も今日とて奴隷日報には、イタリアのポピュリストが反EU政策でけしからん的な与太話等、到底まともな記事は掲載されていないので、取り上げるのも面倒なのですが、目についたのは以下の中央公論の広告です。

恐ろしいですね、「中ロの恐るべき対外世論工作の実像に迫る!」「民主主義国家に挑戦するシャープパワーという毒牙」だそうです。私なんかもロシア・トゥデイ(RT)ばかり見ているので既にロシアのワナに引っかかって完全洗脳されているかもしれません。

ということで、雑誌は買わないまでも、どのようなもんなのか少しばかり調べてみました。別にこんなゴミみたいな雑誌なんぞ買わなくても今はネットで何でも調べられますからね。

さて、このクリストファー・ウォーカーとは一体だれなんでしょう?さぞかし有名なのかと思いきや、Christopher Walkerを検索してもクリストファー・ウォーケン(俳優)ばかり出てくるので、そうでもなさそうです。

まずはこれですよ、

民主国家を脅かす 権威主義国家のシャープパワー ―― 中ロによる情報操作の目的は何か

 民主国家をターゲットにするロシアの情報操作の目的は、アメリカやヨーロッパの主要国を中心とする民主国家の名声そして民主的システムの根底にある思想を多面的にかつ容赦なく攻撃することで、自国をまともにみせることにある。一方、中国の情報操作は、問題のある国内政策や抑圧を覆い隠し、外国における中国共産党に批判的な声を可能な限り抑え込むことを目的にしている。権威主義国家の対外的世論操作プロジェクトは、ソフトパワー強化を目指した広報外交ではない。これをシャープパワーと呼べば、それが悪意に満ちた、攻撃的な試みであることを直感できるだろう。その目的は民主国家の報道機関に(自国に不都合な情報の)自己規制(検閲)を強制し、情報を操作することにある。

具体的なことはさっぱりわかりませんが、いかに中ロが恐ろしい国であるかわかりますね。さて、この「フォーリン・アフェアーズ・リポート」とは何でしょうか?紹介にはこうあります。

1922年にニューヨークの外交問題評議会(CFR)によって創刊された外交専門誌フォーリン・アフェアーズは、冷戦の理論的支柱とされたジョージ・ケナンの「X論文」、冷戦後の大きなパラダイムの一つを提供したサミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」など、時代の節目ごとにその後の世界を予見する重要な論文を発表し続け、国際政治、国際経済、グローバル・ビジネスの意思決定に関わる者の必読誌として世界的な権威と名声を確立しています。

フォーリン・アフェアーズ・リポートは、フォーリン・アフェアーズの邦訳論文に加えて、CFR及びその他の有力シンクタンク研究員へのインタビュー、各国の指導者、政府高官や財界指導者を交えたCFRでのミーティング、問題の争点を明らかするためのブリーフィング、 www.foreignaffairs.com のShort Essayを掲載しております。アメリカ、そして世界でいま何がグローバルなアジェンダとみなされているか、それが日本にどう関わってくるかを日本の読者に伝えることを目的に編集しています。

なるほどー、CFRの皆さんなんですね。金なんぞ腐るほどあるでしょうに、お金とって読ませているところがミソですね。いかにも調査研究した成果を読者さんに提供し、その収益でまわしてますみたいなフリをするわけです。

同じクリストファー・ウォーカーによるシャープパワーについては、東洋経済のウェブ版もありました。

ソフトパワーの衣を着た中露シャープパワーにご用心

ロシアと中国は近年、「ソフトパワー」と関連づけられる分野に、相当な力を注いできた。ソフトパワーとは米国の政治学者、ジョセフ・ナイ氏が生み出した言葉で、「(文化や政治的価値などの)魅力や説得力をもって他国に影響を与える力」と理解される。ロシアと中国は莫大な資金を投じ、メディアやシンクタンク、学界などを通じて世界的な影響力を拡大しようとしている。

このさわりだけを見ても具体的なことはさっぱりわかりませんが、ともあれ恐ろしいことですね。しかし、具体的に例えばロシアが世界的な影響を及ぼすために、どれだけの金をどこに使っているのでしょうか?ちょっと検索した位ではわかりませんが、次に発見したのは、新聞とはとても呼べない代物の産経新聞の記事でした。

「孔子学院はシャープパワー」 全米民主主義基金副会長のクリストファー・ウォーカー氏インタビュー

 民主化支援に当たる米政府系「全米民主主義基金」(NED)は中国政府による各国への孔子学院の設置はソフトパワーでなく、鋭い刃物で突き刺すような「シャープパワー」の発動だと主張する。この用語を定着させようとしているNEDのクリストファー・ウォーカー研究分析担当副会長に聞いた。

なるほど、この全米民主主義基金のクリストファー・ウォーカー氏は、ジョセフ・ナイのソフトパワーに対抗して、自分の発明した言葉シャープパワーを流行らせようと躍起になっているご様子です。この種の流行り言葉の元祖になれば、将来安泰というものですからね。そして、

「中露は自国の政治やメディアを外部に対して閉ざす一方、民主主義国の開かれた空間を検閲や議論の操作で食い物にしようとしている。だから私たちはシャープパワーであると言っている」

それは大変ですね(棒読み)。しかし、この産経の記事は続きがあるでもなく、何を言いたいのかさっぱりわかりません。尻切れトンボです。

さて、この聞いたことの無い、クリストファー・ウォーカー氏と全米民主主義基金(NED)とは何者なのでしょうか?これはWikipediaに出ておりました。

全米民主主義基金

 1982年にレーガン政権により「アメリカ政治財団」の研究による提案という形で設立が決定された。それは、これまでアメリカ中央情報局(CIA)が非公然でやってきたことを公然とやる目的をもったものだった。

NEDはアメリカ国務省から資金を受け、その内から共和党、民主党、米国商工会議所、アメリカ労働総同盟・産業別組合会議それぞれの関連組織である、国際共和協会(IRI)、全米民主国際研究所(NDI)、国際民間企業センター (CIPE)、米国国際労働連帯センター (ACILS) などに資金を分配している。NEDの代表は元アメリカ合衆国社会民主党幹部で実業家のカール・ジャーシュマンであった。

なるほどー、これもまたCFRと同じくCIAつながりなんですね。そして、NEDは米国国務省というCFRに完全に侵食されたヤミ官僚組織からお金をもらっているわけです。

その他、このWikipediaの記述は興味深いものばかりとなっております。

しかし、これ全部元は同じじゃないですか。要するに、CFRもしくはその元の団体(知りませんけど)が、いろーんな名前を使い、いろんなコマを使い、あたかも多様な意見があるかのように装って、結局は自らの邪魔者である敵側を貶め、広く一般の奴隷の皆さんに「そう思ってもらう」という画策のために行っているわけです。

そして、中央公論やら産経新聞などの洗脳システムを通じて、奴隷の皆さんにわざわざお金を払ってもらい、「俺は自分で情報を選択している」などという気にさせておいて、実は洗脳しているという寸法ですよね。

非常にうまいシステムとなっておりますね。

しかし、そもそもの疑問クリストファー・ウォーカーさんというのはどのような人物なのでしょうか?

少々調べてみたのですが、全く見当たりません。英語版Wikipediaにもそれらしいものはなく、米国amazonにもそれらしい著作はなく(一人いましたが、キリスト教司祭でした)、Facebookにも全然別人らしき方ですし、一体誰なんだ?

クリストファー・ウォーカー氏の素性はさっぱりわかりませんが、「シャープパワー」を検索してみるとあるわあるわ、今流行りのようですよ。というか、流行らせようとしているようですね。

中国の「シャープパワー」に対抗せよ :日本経済新聞
米国の「シャープ・パワー」議論の虚実 WEDGE Infinity(ウェッジ)
世界に登場してきたシャープパワー – TBSラジオ
英誌が報じる中国「シャープパワー」脅威論 – 日本戦略研究フォーラム

このようにして愚かな人たちがCFRの画策に引っかかっていくというわけです。

しかも驚いたことに、こんな戯言をビデオニュースが取り上げてました。

以前にも書きましたが、こんな人たちの番組を以前は金を払って見ていたことを非常に後悔しています。なーんもわかってないんですね。ほんとに頭悪いですね、この神保哲生と宮台真司は。

 

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